吐き気の原因はストレス?
朝吐きそうになることが多いけど…なぜ?
ストレスと吐き気の関係をお医者さんに聞きました。
つらい吐き気を抑える対処法も解説します。
自分でストレスを診断できるセルフチェックリストもご紹介しますので、ぜひご利用ください。
監修者
経歴福島県立医科大学卒業
「働く人を支える」薬に依存しない医療を展開する「BESLI CLINIC」を2014年に協同創設、2030年を基準に医療現場から社会を支える医療経営を実践しています。
産業医視点からビジネスマン・ビジネスウーマンを支えております。生薬ベースの漢方内科での経験を活かし、腹診を含めた四診から和漢・井穴刺絡などの東洋医学を扱い、ホルモン、生活習慣をベースに身体から心にアプローチする診療を担当。米国マウントサイナイ大学病院へ留学、ハーバード大学TMSコースを修了。TMSをクリニックへ導入、日本人に合わせたTMSの技術指導、統括を行っています。
なぜ?ストレスで吐き気が…
ストレスによって自律神経に不調が生じて、脳幹部にある嘔吐中枢が刺激されると、吐き気が起こると考えられています。
また、逆流性食道炎※等を発症することで、吐き気が現れるケースもあります。
※逆流性食道炎…胃酸が食道に逆流してしまう病気で、ストレスが原因となることもある
朝に吐き気を感じることが多いのは?
ストレスのせいで寝不足になったり、睡眠の質が低下したりすると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行えなくなり、交感神経が優位な状態になります。
その結果、食べた物の消化を促進する働きをもつ副交感神経よりも、消化を抑制する働きをもつ交感神経の作用が強くなり、夜に食べたものの消化不良が起こるため、翌朝に吐き気を生じやすくなると考えられています。
体のストレスサインに気づいて!
吐き気をはじめ、気になる不調がある場合は、体からの「ストレスサイン」かもしれません。
自分で診断できるセルフチェックリストで確認してみましょう。
ストレス診断チェックリスト
10個以上当てはまる場合は、体からストレスサインが出ている可能性があります。
- 頭が重い、痛いことがよくある
- 腹痛がある
- めまいがある
- 立ちくらみがある
- 胸に圧迫感があり苦しい感じがある
- 動悸がする
- 肩がこりやすい
- 腰が痛い
- 全身に倦怠感がある
- 下痢、便秘を起こしやすい
- のどが痛い、詰まる感じがある
- 手足がしびれる、震える
- 朝の気分がすぐれない
- 寝つきが悪い
- 人に会うのが億劫になっている
- 集中力に欠ける
- 決断力がない
- 不安やイライラ感がある
- 仕事等やる気が出ない
- 根気が続かない
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ストレスが限界に達すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。お医者さんの目線から、「心の症状」と「体の症状」、それぞれ解説してもらいました。
自律神経失調症の疑いも
上記のチェックリストに当てはまる方は、自律神経失調症を発症している可能性もあります。
自律神経失調症の主な要因は「ストレス」と「生活リズムの乱れ」です。
- ストレス
精神的ストレス
仕事等の社会的ストレス
人間関係等による過度のストレス
- 生活リズムの乱れ
夜型の生活等
食事・運動・睡眠などの不規則な生活
その他、体質や環境の変化、ホルモンの影響を受けて生じることもあります。
自律神経失調症の症状
こんな症状に心当たりはありませんか?
<身体的症状>
- 吐き気
- 慢性疲労、倦怠感
- 片頭痛
- 動悸
- めまい
- 不眠
- 微熱
- 耳鳴り
- 手足のしびれ
- 頻尿
- のどや口の不調
- 便秘や下痢 等
上記の症状が続いている場合は、自律神経失調症の可能性があります。
つらい吐き気、どう対処する?
ストレスが原因と思われる吐き気は、まず次の方法で対処しましょう。
- 横になって安静にする
- 深呼吸する
- 水分を摂る
また、普段から、十分な睡眠時間を確保して、胃に負担がかかる食事は控えるように心がけましょう。毎日ぬるめのお湯に浸かる(39度前後、10分間程度)ようにすることもおすすめです。
吐き止め薬は使ってもいい?
市販の吐き止め薬の服用で、一時症状が緩和され対応できる場合もあります。吐き気の緩和に用いられる市販薬としては、漢方薬の「半夏厚朴湯」「六君子湯」等が挙げられます。
しかしながら、吐き気が継続して起きる場合に、自己判断で薬の服用を続けてしまうと、根本的な改善につながらないケースもあります。
吐き気が継続して起こる場合は医療機関を受診し、出現している症状にあった薬を処方してもらったり、必要に応じてカウンセリングなどを受けることをおすすめします。
病院の受診をすすめるケース

吐き気の症状や、自律神経失調症を疑う症状が続く場合は、一度病院を受診してみましょう。
特に、次の症状を伴う場合は、早めに病院に行くようにしてください。
- 激しい腹痛や頭痛がある
- 物が二重に見える
- 胸の痛みを伴う
- 背中や腰に突然痛みが生じた
- 血尿や血便がみられる
- 便が出ない状態になった
- 嘔吐物に血液が混ざっている
- 食事が摂れない
早期受診のメリット
早めに病院で相談すると、吐き気が生じている原因が判明するため、最適な治療を受けることができます。その結果、不快な症状を短期間で改善できる可能性が高いです。
また、重い病気が原因だった場合、重症化する前に発見できるのもメリットと言えます。
何科を受診する?
吐き気の原因がストレスや自律神経失調症が場合、出現する症状が多岐にわたり、日々状態が変化するケースが多いです。最もつらい症状が出ている診療科を受診し、状況を相談することをおすすめします。
(例)
「精神的な面」が気になる場合
→心療内科
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→消化器内科
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「それ以外の症状」が強い場合には
→内科、胃腸内科
胃腸内科を探す
そのストレス、放置しないで!
ストレス性の吐き気を放置すると、急性胃炎、慢性胃炎を発症する可能性があります。
また、精神的な落ち込みが強くなり、適応障害やうつ病などを発症するおそれもあります。
これらの症状が悪化すると、重症化して手術や入院が必要な状態になったり、胃がん等重篤な疾患を発症するリスクが高まります。
ストレス性の吐き気がある場合は、早めに病院に行きましょう。
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