血便がでたら病院へ行くべき…?
この程度なら、大丈夫?
病院へ行くべき危険な血便をお医者さんが解説します。
「血便を放置するとどうなる?」「病院は何科に行けばいい?」といった疑問についてもお答えします。
消化器内科を探す
監修者
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
内科医
岡村 信良先生
経歴
平塚共済病院 小田原銀座クリニック 久野銀座クリニック
この血便、大丈夫?
「こんな血便だったら大丈夫」というケースはありますか?
心配のいらない血便というのは、基本的にないと考えてよいでしょう。
仕事等の都合でどうしてもすぐに受診できない場合、一旦自宅で様子をみても問題ないと考えられる血便の特徴をご紹介します。
- 軽症の食あたり
- 軽症の痔でトイレットペーパーに少量の鮮血が付く
- 摂取した食べ物が原因で、便自体が赤みを帯びている
- 慢性的な便秘で便が硬くなり、排便時に肛門が切れてしまった
- 治療で抗生物質を服用した後に下痢を起こした際、便が赤くなった
血便がでたら、すぐ病院へ行くべき!
血便が出る場合、身体に何らかの異変が起きている可能性があります。できるだけ早急に病院を受診することをおすすめします。
特に注意すべき症状は次の通りです。
- 赤黒い血便
- 粘血便(イチゴジャムのような便)
- 便が細くなってきた
- 突然の激しい腹痛を伴う
- 血がコップ1杯以上排泄された
- 排便時に血圧が低下し、意識が朦朧とする、冷や汗出る
- 発熱・倦怠感・嘔吐・腹痛・便秘・下痢・残便感等の症状がある
診察時の「症状の伝え方」
血便が出ても慌てて流さずに、スマートフォン等で写真を撮っておき、受診する際に持参してください。
また、次の2ポイントも伝えるのがよいでしょう。
- 血便の色・形状・量・臭い
- 血便以外の症状
病院は何科?
血便がみられる場合には、消化器内科、胃腸内科、肛門外科の受診をおすすめします。
消化器内科を探す
こんな深刻な病気の可能性も
自分では痔だと思っていたら、実はガンだったというケースもあります。血便がでていたら、次のような病気の可能性があります。
潰瘍性大腸炎
大腸粘膜に潰瘍やただれが生じる炎症性疾患です。
主な症状は下痢に伴う粘血便(イチゴジャム状の便)ですが、悪化すると発熱や腹痛が起こります。緊急手術が必要になる場合もあるため要注意です。
合わせて読みたい
2023-01-30
潰瘍性大腸炎とは、どのような病気なのかを分かりやすくまとめました。
潰瘍性大腸炎の主な症状やなりやすい人、原因なども紹介するので、心当たりがないかチェックしてみましょう。
潰瘍性大腸炎とは
潰瘍性大腸炎とは、大腸に炎症ができ、表面が赤く腫れたり、潰瘍ができたりする疾患です。
初期段階は、下痢と便秘を繰り返すことが多いのですが、症状が悪化すると血便や下血が現れる場合もあります。
どんな痛み?潰瘍性大腸炎の症状
下痢
血便(赤黒い色の血便、粘血便)
激しい腹痛
下腹部の違和感
発熱
倦怠感
貧血
脱水
食欲低下
体重減少
下痢と血便を主症状として、激しい腹痛を伴うケースが多いです。
ゼリー状の粘液のような血便が出る場合もあります。
悪化すると、1日10回以上血便が出るようになります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の発症原因は未だ明確になっておらず、国の指定難病に定められています。
考えられる原因としては、免疫異常・遺伝的要因・環境要因が挙げられます。
潰瘍性大腸炎になりやすい人・性格は?
ストレス過多・ストレスを感じやすい
腸内細菌のバランスが崩れている
生活習慣が乱れている
家族が潰瘍性大腸炎やクローン病を発症している
発症に男女差はなく、男性の発症ピークは20~24歳、女性の発症ピークは25~29歳にみられます。
ストレスが潰瘍性大腸炎の直接的な原因となるわけではありません。
ただし、過剰なストレスは腸内環境の悪化や免疫力の低下につながるため、潰瘍性大腸炎の発症に影響するという意見もあります。
「ストレスが溜まっている」「ストレスを感じやすい性格」などの自覚があり、潰瘍性大腸炎の症状が見られる場合は、注意が必要です。
家庭内で発症するケースもあり、遺伝的因子も関与すると考えられています。
そのため、家族に同様の病気の人がいると、発病のリスクが高くなる可能性があります。
▼参考
潰瘍性大腸炎(指定難病97)
潰瘍性大腸炎とは?症状と予防のために気をつけたい注意点を解説
潰瘍性大腸炎について- どのような病気か分かりやすく解説! -
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は病院へ
潰瘍性大腸炎は再発しやすく、重症化して手術が必要になる場合もあるため、早めに病院を受診してください。
潰瘍戦大腸炎を疑う場合は、内科・消化器内科・胃腸内科の受診をおすすめします。
内科を探す
潰瘍性大腸炎の治療法
潰瘍性大腸炎の治療では、「薬物治療」や「手術」が行われます。
薬物治療は、大腸の炎症を抑える薬、免疫機能を調整する薬などを使用します。
薬が効かない、症状が重いなど、薬物治療で対処できない場合に、大腸を全摘出する手術が行われることがあります。
大腸ポリープ
大腸粘膜が膨らみイボ状の塊が生じる疾患です。
ポリープが小さい場合は自覚症状がないケースが多いですが、大きくなると、腹痛と出血が起こる場合があります。良性の場合が多いですが、大腸ポリープはほぼ癌化します。
大腸がん
排便時に出血がみられるケースが多いため、痔と勘違いしがちですが、大腸がんを発症している可能性があります。
初期は自覚症状がほぼないため発見が遅れやすく、症状が進行すると、血便、腹部のしこり、便が細くなる、腹痛、便秘と下痢を繰り返す等の症状が出現する場合があります。
急性胃腸炎(感染性腸炎)
食中毒の種類によっては、血便、発熱、頭痛等を伴う場合があります。
特に腸管出血性大腸菌、カンピロバクター等は、重症化する恐れがあるため要注意です。
アメーバ赤痢
赤痢アメーバが大腸内に寄生して潰瘍が生じる状態です。
粘血便(イチゴジャム状の便)、下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐等の症状が出現します。
大腸憩室症
大腸内壁の一部分が外側に突出し袋状になった状態です。
袋状のものの血管が破裂すると突然大量に出血し、血便が出る場合があります。
虚血性大腸炎
大腸への血液循環が滞ると起こる状態です。
下行結腸、S状結腸等にきている動脈が詰まってしまい、虚血状態になり潰瘍が生じます。腹痛(激痛)後に血便を伴う下痢が生じるケースが多いです。
クローン病
口から肛門までの消化管に炎症が生じて、潰瘍等が発生する炎症性疾患です。
主な症状は、腹痛、下痢ですが、粘血便(イチゴジャム状の便)が出る場合や、発熱、体重減少、肛門の痛み等が起こる場合もあります。
病院へ行かずに血便を放置すると、早期発見により完治が期待できる疾患も、改善が遅れることがあります。
病院ではどんな治療をするの?
痔の場合は、座薬、軟膏等を用いた治療や、注射により内痔核を硬化させて止血する治療等が行われる場合が多いです。
潰瘍性大腸炎等で重症の場合には、手術や入院治療が行われる場合もあります。
①問診
血便の色、形状、量、痛みの有無、発生時の様子、血便以外に出現している症状、どのくらい前から発生しているか等詳細な身体状況についての問診が行われます。
②身体診察
腹部の触診、肛門鏡による診察等が行われる場合があります。痔の疑いがある場合には、直腸診が行われる場合があります。
③各種検査(身体状況に合わせて)
- 胃内視鏡検査
胃や十二指腸潰瘍等による出血が疑われる際に行われる検査です。
- 大腸内視鏡検査
直腸奥部分や大腸自体の疾患が疑われる際に行われる検査です。
- 腹部超音波検査
外側から腸管の浮腫みの程度等を確認する場合や、炎症や虚血の状態の確認時に有効な検査です。
- 血液検査
血便による貧血の有無、炎症の程度(腸炎等の疑いがある場合)等を確認するために行われる場合があります。
参考
武田コンシューマーヘルスケア株式会社 血便
https://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=ketsuben
社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院 医療相談
https://www.takano-hospital.jp/cms/topics/faq/56d92950e4b06af7e0bb1ad1
兵庫県保険医協会 急に起こる血便
http://www.hhk.jp/kenko-telservice/2009/0802-171455.php
SGホールディングスグループ健康保険組合 大腸がん症状
https://www.kenpo.gr.jp/sgh/contents/03hoken/cancer/daicyogan/02.html
特定非営利活動法人 日本成人病予防協会 出血 ~血便~ 気になるからだの危険信号
https://www.japa.org/tips/kkj_0202/