「耳のふちが痛い」「耳がズキズキ痛む、腫れがある」
耳が痛む病気はさまざまです。
なかには、放っておくと症状が悪化するものもあります。
耳が痛くなる原因や対処法、絶対にしてはいけないことなどを、医師が詳しく解説します。
監修者
瀬尾クリニック
院長
瀬尾 達先生
大正時代祖父の代から続く耳鼻咽喉科専門医。クリニックでの診療のほか、京都大学医学部はじめ多くの大学での講義を担当。マスコミ、テレビ出演多数。
平成12年瀬尾クリニック開設し、院長、理事長。
京都大学医学部講師、兵庫医科大学講師、大阪歯科大学講師を兼任。京都大学医学部大学院修了。
乳様突起感炎は、乳様突起(耳後方の突出した骨)に肺炎球菌が増殖したことが原因で発症するケースが多いと考えられています。
肺炎球菌は、くしゃみやせきで飛散した飛沫を吸入したり、感染した人と濃厚接触したりして増殖します。高齢者のように免疫機能が落ちて、抵抗力の弱い方は特に増殖します。
免疫力が低下していると、重症化のリスクが高いので、予防のため、肺炎球菌ワクチンを接種しましょう。
また、中耳炎(急性中耳炎)が悪化した場合、中耳の感染が乳様突起まで拡大し、発症することもあります。
耳鼻いんこう科では、抗生剤や抗菌薬を用いた治療や、膿を除去する処置が行われます。
耳ろう孔という、生まれつき耳の付け根付近に小さな孔(あな)が生じる病気があります。
その孔の中にある分泌物に菌が感染すると、孔の周りに痛みが生じるケースがあります。
病院で感染が判明した場合、消炎鎮痛剤や抗生剤を用いた治療が行われます。
症状が悪化している場合は、膿を除去する処置が行われる場合があります。
水ぼうそうにかかったことがある人の神経節には、過去の帯状疱疹ウイルスが隠れています。
耳鼻いんこう科では、抗ウイルス薬を用いてウイルスの活動を抑制する治療が行われます。
腫脹がみられる場合には、ステロイド薬を用いた治療が行われる場合があります。
耳介の手術や怪我(切り傷、打撲、虫刺され)等による感染が原因で、発症するケースが多いです。また、グラム陰性菌(特に緑膿菌)による感染が原因で、発症するケースが多いといわれています。
耳鼻いんこう科では、消炎鎮痛薬や抗生剤等を用いた治療が行われます。
膿が貯留している場合は、膿を除去する処置が行われる場合があります。
首後方を冷やすと、一時的に痛みが和らぐ場合もあります。
市販の消炎鎮痛剤で一時的に痛みを緩和させることはできますが、自己判断での市販薬の使用はおすすめできません。
症状に合った薬や治療を受ける必要があるケースが多いため、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
乳様突起の骨内側に膿が溜まり、耳が聞こえにくくなる等の症状が出現する場合があります。さらに悪化すると、敗血症や髄膜炎等を発症し、命に関わる状態に陥る恐れがあります。
難聴や顔面麻痺等の後遺症が残る可能性があります。
少しずつ軟骨が壊死していき、耳が変形してしまう恐れがあります。
保冷剤等を直に耳に当てないでください。
凍傷を起こす恐れがあるため、タオル等に包み、冷やすようにしてください。
耳の痛みが続く場合は、放置せず耳鼻いんこう科を受診してください。