「いくら水分を摂っても喉が乾くのはなぜ?」
喉が渇くのは、乾燥や脱水など日常的な原因だけでなく、病気によって引き起こされた症状である可能性もあります。
この記事では、喉が渇く症状を伴う病気について、医師が詳しく解説します。
病院を受診する判断基準もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
やたらと喉がかわく「よくある6つの原因」
- 脱水・発熱
汗をかく等により、体内の水分が消失していると喉が渇きやすくなります。
- ドライマウス
加齢による唾液分泌量の減少が原因で、口や喉が渇きます。
- 高齢
加齢により体内の水分量は低下していくため、喉が渇きやすくなる傾向にあります。
- 服薬
薬に含まれる抗コリン作用が原因で、唾液の分泌が抑制されて喉の渇きが生じます。
主に、抗アレルギー薬、高血圧の薬、抗うつ薬等に含まれています。
- 塩分過多
塩分を過剰に摂ると、血液を薄めるため細胞内の水分が使われるため喉が渇きやすくなります。
- アルコールの過剰摂取
アルコールには利尿作用があるため尿量が増えて喉が渇きやすくなります。
これらに当てはまらない場合は、病気が原因で喉の渇きを感じている可能性があります。
喉が渇くときの「対処法」
喉が渇くときは、
- 水分補給
- 糖分を適度に摂る
- できるだけ温かいものを飲むようにする
- 乾燥しないように加湿等を行うようにする
といった対処法を行なってみてください。
一度にたくさんの水分を摂取すると、逆に体の電解質バランスが崩れてしまい不調が起こる場合があるため、少量をこまめに摂るようにしてください。
熱すぎる飲み物は、水分が蒸発して喉が乾きやすくなることがあります。飲み物は常温に近いものがおすすめです。
スポーツ飲料・経口補水液がおすすめ
スポーツ飲料や、脱水の際は経口補水液がいいでしょう。
糖分は腸管内での水分の吸収率を高める働きが期待できます。
腎疾患の場合は水分制限になったり、糖尿病の場合は糖分制限などあるため、病気が原因であれば、主治医の指示に従ってください。
異常に喉が渇くのは「病気のサイン」のケースも
喉が渇く症状を伴う病気には
- 糖尿病
- 腎臓疾患
- シェーグレン症候群
- 甲状腺機能亢進症
があります。
① 「糖尿病」の症状
喉の渇き、多飲、多尿、倦怠感、体重減少等の症状が生じます。
糖尿病を発症すると、インスリンの働きが低下するため、血糖を取り込むことが困難になり、血糖値の上昇を招きます。
その結果、吸収できなかった糖を尿として排泄しようとして多尿(頻尿)になります。
尿を排泄すれば水分も一緒に消失するため、脱水になり喉が渇きます。
② 「腎臓疾患」の症状
自覚症状があまりないケースが多いようです。
しかし、起床時にまぶたが浮腫んでいる、尿に濃い色がついている等の症状が続く場合は医療機関を受診してください。
腎臓は尿を排泄する働きをもつ臓器です。
その腎臓の機能が低下してしまうと、尿の濃度を調節する働きも抑制され、尿の排泄量が増えるため喉が渇きます。
③ 「シェーグレン症候群」の症状
口・目の渇き、筋肉痛等の症状が出現します。
唾液腺、涙腺に何らかの異常を起こす自己免疫疾患です。
50代の女性が発症するケースが多いようです。
④ 「甲状腺機能亢進症」の症状
高カルシウム血症が起こると、喉の渇き・吐き気・倦怠感等の症状を起こす場合があります。
副甲状腺ホルモンが過剰分泌される疾患です。
病院に行く判断基準は?
一日に摂取する水分の平均量はおよそ1000mlとされています。この摂取量を大幅に超える水分を摂取しても喉が渇くと感じる場合や、唾液の分泌量が減ってきて口が渇くと自覚している場合は、病気が原因の可能性があります。
何科を受診すればいい?
まずは内科を受診してください。
※そこから検査をして、腎臓内科や糖尿病内科など紹介されることがあります。
内科を探す
「女性特有」の4つの原因
女性特有の症状としては、
- 妊娠
- 月経前症候群(PMS)
- 生理
- 更年期障害
の4つの原因が考えられます。
①「妊娠」のケース
妊娠初期では、胎児を守る羊水を清潔に保とうと体内の水分が使われるため、喉が渇きます。
そのため、脱水にならないよう注意が必要です。
また妊娠に伴い、子宮内膜を厚くする働き、水分を保持する働き、体温を高める働きをもつプロゲステロンの分泌量が増加するため、水分補給をしてもすぐ喉が渇いてしまうようです。
② 「月経前症候群(PMS)」のケース
月経前症候群の場合、喉の渇き・頭痛・冷え等の症状が出現する場合があります。
③ 「生理」のケース
生理が始まるとホルモンの働きが活性化され、子宮強化、乳腺発達等のために水分を溜め込もうとして喉が渇きます。
④ 「更年期障害」のケース
加齢によりホルモンのバランスが変化しやすくなり、いろいろな不調が現れる状態です。
喉の渇き・ほてり・多汗・抑うつ・不眠等の症状が生じやすいようです。
「子どもに多い」4つの原因

子どもに多い症状としては、
- 睡眠中の口呼吸
- 気管支炎、喘息
- 糖尿病
- 肺炎
の4つの原因が考えられます。
① 睡眠中の口呼吸
寝ている間、口呼吸をしていると乾燥して喉が渇きます。
② 気管支炎、喘息
咳が続くことで喉が乾燥するため、喉が渇く場合があります。
③ 糖尿病
子どもの糖尿病の場合、喉が渇く・よく飲む・食べる量が多いのに痩せる、倦怠感等の症状が起こりやすくなります。
④ 肺炎
子どもの肺炎は発熱を伴うケースが多く、発汗により喉が渇く場合があります。