歯の詰め物が黒に変色…なぜ？きれいにできる？交換は可能？

「詰め物が黒く変色している…！」
「なにこれ？虫歯？」

詰め物が黒く変色する原因を、歯医者さんに聞いてみました。

詰め物ではなく、下の歯が変色しているケースもあります。
変色した詰め物を治す方法や変色しにくい詰め物なども解説します。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

歯の詰め物が黒く変色した原因

歯の詰め物が黒く変色する原因は、

1. 経年劣化（レジン等）
2. 銀イオンの溶けだし（銀歯）
3. 着色（コーヒー・タバコ等）
4. 虫歯

などが考えられます。

それぞれ詳しく解説していきます。

原因①　経年劣化（レジンなど）

レジンなどの詰め物は、3～4年くらい経過すると黒く変色する場合があります。
詰め物と歯そのものが、黒っぽく変色します。

詰め物をした部分や、その周りが黒く変色することが多いです。
プラスチックが口の中の水分を吸収して膨張すると変色していくと考えられています。

原因②　銀イオン（銀歯）

銀歯の耐久年数は5～7年と言われいます。
長期間の使用で歯が変色するケースが多いです。

銀の詰め物が入っている歯とその周辺が変色するケースが多いです。
銀歯の詰め物を使用している場合、銀歯に含まれている金属イオンが歯や歯茎に溶け出ることで歯が黒く変色する場合があります。

原因③　着色

色が濃い飲食物（紅茶・コーヒー・赤ワイン・チョコレートなど）や、タバコのヤニなどが、詰め物や歯に付着することで変色してしまうことがあります。

色が濃い食べ物をよく摂取する人、タバコを吸う人、毎食後に歯を磨かない人も着色しやすいでしょう。

特に、前歯が変色しやすいです。
また、詰め物と歯の境目も変色しやすいです。

原因④　虫歯による変色（歯の変色）

詰め物をしている歯の溝や内側で、虫歯が進行していると、歯が黒っぽく変色する場合があります。

詰め物をした歯自体が黒っぽく変色して、穴が開いていることもあります。
詰め物と歯の境目は、虫歯になりやすいです。
詰め物で覆われた歯は、虫歯に気づきにくく進行してから発見されるケースも多いです。

保険治療の詰め物は、変色しやすい

保険適用の詰め物（レジン・銀歯など）は、保険適用外のものと比べると経年劣化しやすく、耐久性が低いケースが多く、変色しやすいと考えられます。

ただし、保険適用になる材質も進化しているため、一概に変色しやすいとはいえません。
また、日ごろの歯のケア方法や食生活などによっても変色の度合いは異なるでしょう。

黒い変色は…自分で治せる？

飲食物などの着色が原因であれば、軽度であればセルフケアで落とせることもあります。

自分でできる「歯の着色を落とす3つの方法」

① 1本ずつ、細かく磨く

ゴシゴシと強く磨くのではなく、歯を1本ずつ優しく丁寧に磨きましょう。

② 薬用成分配合の歯磨き粉を使う

薬用成分（ポリリン酸ナトリウム等）配合の歯磨き粉を使用して歯を磨くと、歯表面に付着した汚れが浮き上がりやすくなり、着色汚れの除去に有効です。

市販歯磨き粉は、

• シティース ホワイト プレミアム【医薬部外品】（第一三共ヘルスケア）
• 薬用パール ホワイト プロ シャイン【医薬部外品】（美健コーポレーション）

などがおすすめです。

③ ステインクリーナーを使用する

ステインクリーナー（※）を使い、歯表面を優しく磨くと着色汚れを除去できる場合があります。
ただし、力任せにゴシゴシ磨くと、歯自体にダメージを与える恐れもあるため使用上の注意をよく読んでから使用しましょう。
※ステインクリーナー
市販でも購入できる歯の着色を落とすもので、消しゴムタイプやスポンジなどもあります。

これはダメ！リスクにつながる「NGな対処法」

研磨剤を含む歯磨き粉やステインクリーナーなどで力強く磨くのは、やめましょう。

歯が削れて「知覚過敏」を発症するリスクがあります。
知覚過敏は歯の内側の象牙質が露出することで、歯がしみるなどの症状があらわれます。
研磨剤入りの歯磨き粉やステインクリーナーの使用には、注意が必要です。

“ケアしているのに黒い”ときは歯医者さんへ！

歯の詰め物の変色が気になるときは、歯医者さんに相談しましょう。
また、

• 痛みがある
• 歯に穴が開いている

などの症状がみられる場合、「虫歯」や「着色が内部まで進んでいる」などによって変色していることが疑えます。

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歯医者さんではどんな対処をするの？

歯の詰め物が黒くなっている場合、

1. 詰め物を交換する
2. ラミネートベニヤ
3. 歯のクリーニング（PMTC）
4. ホワイトコート（歯のマニキュア）

などの治療法が行われます。

それぞれの治療の方法や費用なども解説していきます。

治療方法①　詰め物を交換する

黒く変色している詰め物を外して、新しい詰め物に交換する治療法です。

着色汚れがある部分を除去し、人工の詰め物で修復します。
自分の歯と同じような色にできます。

詰め物の交換にかかる費用の目安

費用の目安としては、1本3万円以上必要になるケースが多いです。

ただし、「虫歯治療」として白い材料（コンポジットレジン）を詰める場合、保険適用になり、1本1,500円程の治療費となります。

治療方法②　ラミネートベニヤ

着色汚れがある部分を除去し、被せ物を取り付ける治療法です。

歯型を取って模型を作り、薄いセラミックのカバーを作成して歯に取り付けます。

ラミネートベニヤにかかる費用の目安

費用の目安としては、1本5万円以上必要になるケースが多いです。

治療方法③　歯のクリーニング（PMTC）

歯医者で専門家により行われる歯表面の徹底的な清掃です。

専用器具とフッ化物配合の研磨剤を用いて、歯表面の着色汚れ等を除去します。

歯のクリーニングにかかる費用の目安

費用の目安としては、5,000円程度必要になるケースが多いです。

治療方法④　ホワイトコート（歯のマニキュア）

歯表面に歯科専用の白色のプラスチックを塗布して、歯を白くする治療法です。

歯表面を清掃後、歯表面を白色にコーティングしてレーザー照射します。

1回の施術で3ヶ月ほど白さを維持できるケースが多いです。
銀歯等の詰め物にも塗布できます。

ホワイトコートにかかる費用の目安

費用の目安としては、1本2,000円以上必要になるケースが多いです。

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変色しにくい歯の素材について

変色しにくい歯の素材には、

1. オールセラミック
2. ジルコニアセラミック
3. ジルコニア

などがあげられます。

それぞれの素材の特徴や、費用なども解説します。

素材①　オールセラミック

金属不使用でセラミック（陶器）のみで作られている素材です。

オールセラミックの特徴としては、

• 天然歯に近い見た目になる
• 身体に優しい
• 経年劣化が少なく、美しい歯を維持できる
• 強い衝撃で欠ける場合がある

などがあげられます。

オールセラミックの費用の目安

費用の目安としては、7万円以上必要になるケースが多いです。

素材②　ジルコニアセラミック

スペースシャトルにも使用されている強度の強いジルコニアに、色々な色合いのセラミックを焼き付けた素材です。

ジルコニアセラミックの特徴としては、

• 天然歯に近い透明感がある
• オールセラミックよりも強度がある
• 経年劣化が少ない
• 飲食物による歯の着色がしにくい
• 強い衝撃で割れることもある

などがあげられます。

ジルコニアセラミックの費用の目安

費用の目安としては、7万円以上必要になるケースが多いです。

素材③　ジルコニア

スペースシャトルなどにも使用される強度の強いジルコニアのみで作られている素材です。

ジルコニアの特徴としては、

• 強度が強い
• 飲食物等による歯の着色が少ない
• どのような歯にも対応しやすい
• セラミックと比較すると透明度が若干低い（白さが強くなる）

などがあげられます。

ジルコニアの費用の目安

費用の目安としては、7万円以上必要になるケースが多いです。

どの詰め物にすればいいかわからない場合は、担当する歯科医と相談してみましょう。
希望する仕上がりと予算を伝えるのがよいでしょう。

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