「フッ素は体に悪い!?」歯磨き粉は大丈夫？大人でも虫歯予防になる？

「フッ素が体に悪いって聞いたけど、本当？」

歯に使用されるフッ素について、歯医者さんに聞いてみました。
「どの程度摂取すると危険なのか」といった疑問にもお答えします。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

フッ素と呼ばれているものは「フッ化ナトリウム」

歯に使うフッ素は、ナトリウムが結合した「フッ化ナトリウム」です。
この物質は、適切な使用による安全性を認められており、歯科治療で広く用いられています。

フッ素は自然界に広く分布している元素の一つです。
基本的に他の元素と結合した「フッ化物」として存在しており、私たちが毎日口にしている飲み水や食べものにも含まれています。

フッ素は体に悪いって本当？

フッ素が体に悪いって聞いたので心配です。大丈夫ですか？

使い方や量を守っていれば、特に心配はいりません。

ただし、そのほかの食べ物や薬などにも言えるように、フッ化物を過剰に摂取することは危険です。

“体に影響がでる”といわれているフッ素の量

中毒（※1）が起こるといわれているフッ素の量は、2mgF/kg（体重）と言われています。
体重15㎏の4歳児の場合は、虫歯予防の「フッ素すすぎ液」の約65回分を飲み込んだ量になります（※2）。

（※1）中毒とは、毒物で生体の機能が障害され、悪影響がみられるもののことを言います。一時的な不快な症状をことは言いません。

（※2）1回に使用する洗口液を5ml、フッ素量を1.15 mgとした場合。

また、「フッ素うがい」でのフッ素の飲み込み量は、平均0.2mg以下だと言われています。
前例はありませんが、仮に1回分の洗口液全量飲んでしまったとしても、中毒を起こす量には達しません。

フッ素配合の歯磨き粉は大丈夫？

フッ素うがいと同様に、たくさん飲み込まなければ、中毒を起こすことはありません。
過剰に心配する必要はないでしょう。

歯医者さんで使うフッ素の量

1回塗布した場合に口の中に残るフッ素の量は2mg程度です。
急性中毒の発現量は、2mgF/kg（体重）と言われているため、安全な量であるといえます。

フッ素が危険という「誤解の真相」

ネット上で、フッ素が「脳に影響がある」「骨に影響がある」といった情報を目にしたのですが…

フッ素うがいや塗布などでフッ素が“口の中に残る程度の量”であれば、体に影響を与えることはありません。

骨や脳に影響を与えるには、長期間過剰にフッ素を摂取する必要があります。
フッ化物を過剰に摂取することは危険ですが、使い方や量を守っていれば心配はありません。

フッ素が「ヨーロッパで禁止」と聞いて不安…

フッ素が「ヨーロッパで使用禁止」というのを聞いたのですが、使用しても大丈夫なのでしょうか？

ヨーロッパで「使用が禁止されている」ということはありません。
フッ化物の応用については、WHOをはじめとした世界中の機関（※）が推奨しています

海外では、あえて水道水自体にフッ素を含ませている地域もあります。
日本では「中毒量に達するような過剰摂取をしなければ、生体の機能が障害されることはない」としています。

フッ素にはどんな効果があるの？

フッ素の塗布には

• 歯の質を強くさせ、溶けにくい歯になる
• 細菌による「酸の生成」を抑える

といった作用があり、虫歯の予防効果が期待できます。

フッ素塗布の料金は？保険適用される？

料金は、500円〜2,000円程度で、基本的には保険適用外となります。

ただし、「初期虫歯がある場合」はフッ素塗布が保険適用になります。
料金は、歯医者によって異なりますので、受診する前に確認するとよいでしょう。

歯の定期健診を受けよう！

歯医者でフッ素を塗ってもらうことで、大人の歯も虫歯予防ができます。

大人になると、歯周病や加齢によって少しずつ歯茎が下がり、歯の根っこ部分が露出していきます。
この歯の根っこの部分には「エナメル質」が無いため、虫歯が進行しやすくなります。

ご自身の歯で長く食事を楽しむためにも、歯医者での定期検診をおすすめします。

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