公開日:2020-01-07 | 更新日:2022-06-01
妊娠してから、頭痛がひどい。
これは妊娠初期症状?
それともキケンな病気の兆候?
お医者さんに、妊娠初期の頭痛の原因と、治すためにできることを聞きました。
妊娠初期に「頭痛」が起きる理由

妊娠すると、女性ホルモンが大量に放出されて妊娠していない時とは異なる体の状態になります。この大量に放出されるホルモンに女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)もあります。プロゲステロンは、血管を拡張する作用があり、多く排出されていることでこの作用が強く出て「片頭痛」と呼ばれる頭痛が起きやすくなります。
片頭痛ってどんな頭痛?
片頭痛は、ズキズキとした痛みが特徴の頭痛です。
この頭痛自体は、生理現象のひとつなので、過度に心配しなくても大丈夫です。安静にしていれば治っていきます。
妊娠初期の頭痛…いつまで続く?

妊娠中期(5カ月目)頃まで続き、徐々に治る傾向にあります。
妊娠中の片頭痛を和らげるには?

片頭痛を感じたら、動くのをやめ、安静にしてください。(片頭痛は、血流が良くなるとさらに悪化します。)
痛む部分を冷却シートや冷タオルなどで冷やすと楽になります。
体が温まると血流がよくなり、痛みが増すことがあるので注意しましょう。
また、光や音の刺激を受けると痛みが増すこともあるので注意しましょう。
妊娠中は、頭痛薬の服用は主治医に相談しましょう。
妊娠初期の片頭痛におすすめのツボ

つわりがひどい時には、無理をせず安静にして過ごしましょう。
また、ストレスを溜めないようにリフレッシュすることも大切です。自律神経を整えるツボを押してみるのもいいでしょう。
ストレスは、肩こりや体全体の血流を悪くし、頭痛を引き起こす原因にもなります。妊娠すると不安や心配が原因でストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。自分なりのリフレッシュ方法を見つけてできるだけストレスを溜めないようにしましょう。
百会(ひゃくえ)


「百会」というツボを押すと、自律神経を整え、頭痛や肩こりを解消する効果が期待できます。
このツボは、頭のてっぺんの両耳と鼻が交差する部分にあります。
肩井(けんせい)


「肩井」というツボを押すと頭痛緩和の効果が期待できます。
このツボは、肩の真ん中の部分にあります。肩こり緩和にも働きかけます。
「生活習慣を整える」と頭痛の軽減につながることも

頭痛対策のために
- 規則正しい生活をおくる
- 1日6時間以上の睡眠をとる
- 体調の良い時に週1回程度は30分程度の運動をする
の3つを意識するとよいでしょう。
「片頭痛」は、寝不足や生活習慣の乱れでも発症しやすくなります。
また、そのような生活に伴って運動不足が続くと「緊張型頭痛」の原因にもなります。
「これは…片頭痛じゃない」と思ったら

妊娠初期の頭痛には片頭痛以外にも
も考えられます。
それぞれ「頭痛を緩和する方法」などの対処が異なります。
判断を間違うと、逆効果になることも。ご自身の頭痛がどのタイプかチェックしてみてください。
頭痛のタイプ
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特徴
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緊張型頭痛
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- 頭全体が重くなるような感覚
- 目の奥からズーンとした痛み
- 首や背中からこわばりを感じる場合も多い
- 頭を締め付けられるような感じる場合も多い
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風邪・インフルエンザ
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緊張型頭痛は、運動不足・眼精疲労・同じ姿勢で首や肩など筋肉のコリが原因で起こります。また、免疫力が低下しやすい妊娠中は風邪・インフルエンザに感染しやすい状態です。最初は、頭痛だと思っていても急激に寒気・倦怠感・発熱がある場合は、ウイルス感染が原因かもしれません。
緊張型頭痛のときは…

緊張型頭痛は、血流をよくするとおさまります。
片周りや首、背中などを動かしてストレッチしたり、カイロで温めたり、入浴するとよいでしょう。
片頭痛とは、対処が異なるので注意してください。
冷やすのも逆効果です。
風邪・インフルエンザのときは…

まずは体を温かくして、安静にしてください。
その上でかかりつけの産婦人科に連絡をして、指示を仰ぎましょう。
胎児の器官がつくられている妊娠初期に高熱(目安として38度以上)が続くと、胎児へ影響するリスク(奇形・神経管欠損など)が高まります。特に妊娠初期は、飲める薬にも限りがあります。早めに医療機関を受診するのがよいでしょう。
インフルエンザなどの感染症にかかっている場合は、他の妊婦さんへの感染を防ぐためにかかりつけの産婦人科ではなく近くの内科の受診を指示されることもあります。
かかりつけの産婦人科以外を受診するときは、必ず妊娠していることを医師に伝えましょう。
頭痛薬は服用してもいい?

妊娠初期でも使える頭痛薬はありますか?


妊娠初期でも使える頭痛薬はあります。
しかし自己判断で市販薬を選ぶのはやめましょう。
使える薬は、妊婦さんの体調や妊娠週数によっても判断が必要です。特に妊娠初期は薬が胎児に影響するリスクがあるため、自己判断で市販の風邪薬(漢方薬も含む)を飲むのはやめましょう。医療機関で医師の処方を受けるようにしてください。
カロナールなら大丈夫?

カロナール(アセトアミノフェン)は副作用が少なく作用も緩やかなので、妊娠中でも飲めるといわれている頭痛薬です。
ただし、薬の添付文書(お薬の説明書)には「妊娠中の投与に関する安全性は確立していません。妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること」と書かれています。
また、妊娠後期に服薬した場合、胎児に動脈管収縮を起こす危険性もあります。必ず医師の判断をもらってから服用をしましょう。
頭痛が続いて「流産の危険がないか心配」
妊娠初期の頭痛は、流産の危険があると聞きました。本当ですか?


頭痛が直接流産の原因につながるとは考えづらいです。
病院の受診が必要な場合

以下のような特徴がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
- 突然の激しい頭痛
- 我慢できないくらい痛い
- 38度以上の高熱
- 意識がもうろうとする
- 手足が動かしにくい、言葉が出ない
- 痙攣を起こすこともある
激しい頭痛がある場合…

くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などの可能性があります。
放っておくと命を落とすリスクがあります。
高熱・意識がもうろうとする場合…

感染症の可能性があります。
流産や早産になる、白内障、先天性心疾患、難聴などの障害がある赤ちゃんが生まれるリスクがあります。
手足を動かしにくい・言葉が出ない・痙攣を起こしている場合…

脳梗塞の可能性があります。
また、いつもよりも激しい頭痛や、我慢できない頭痛が出ている場合は、脳出血や脳梗塞、または別の病気を発症している可能性があります。
放っておくと命を落とすリスクがあります。
手足が動かしにくい・言葉が出ない・痙攣が起こしている場合
脳神経外科、脳神経内科を受診しましょう。
内科を受診しましょう。
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