1歳未満の赤ちゃんがはしか（麻疹）にかかったら？後遺症・予防対策について

麻疹（はしか）とは、感染力が強いウイルス感染症です。感染した場合は、ほぼ100%発症するとされています。

免疫の低い赤ちゃんは、麻疹の症状が重症化しやすいです。

監修者

荒牧内科

院長
荒牧 竜太郎 先生

経歴

1998年　埼玉医科大学　卒業
1998年　福岡大学病院　臨床研修
2000年　福岡大学病院　呼吸器科入局
2012年　荒牧内科開業

1歳未満の赤ちゃんは、麻疹の予防接種が受けられない！

予防接種を受ければ、重症化する可能性が低くなりますが、1歳未満の赤ちゃんは、麻疹の予防接種（MRワクチン：麻疹風疹混合ワクチン）を受けることができません。

MRワクチン（麻疹風疹混合ワクチン）の接種は、1歳以上とされています。

それまでの月齢では、ママからもらった免疫が体で働いており、ワクチンを接種しても働きが得られない可能性があるためです。ママからもらう免疫が切れるのは、半年から1歳未満とされています。免疫の影響を受けずに麻疹のワクチンが働けるように1歳以上とされているのです。

赤ちゃんが麻疹にかかると…どんな症状が出る？

免疫の低い赤ちゃんは、麻疹の症状が重症化しやすいです。

発熱、鼻水、咳、くしゃみなどの症状が出た後、数日後に赤い発疹が顔や体に現れます。

発疹には、かゆみがある場合があります。赤ちゃんは、感染しただけでも体力を奪われ、衰弱してしまう場合もあります。

赤ちゃんの麻疹の合併症・後遺症

合併症には、

• 中耳炎
• 肺炎
• 脳炎

後遺症には、

• 亜急性硬化性全脳炎（※）

などがあります。

※一度はしかが良くなっても、数十年後に発症して脳を犯す病気。脳内の麻疹ウイルス感染が原因とされる。

麻疹を予防するには？

予防注射を受けていない赤ちゃんは、麻疹が流行った際には、不用意に外部との接触をしないようにしましょう。

インフルエンザウイルスの感染力は、1人の感染者から2、3人程度に伝搬すると言われています。しかし、麻疹は10～20人以上と、とても感染力が強いのが特徴です。流行すると、季節を問わず感染します。ピークは春先から夏頃です。

麻疹（はしか）の感染期間

東京都感染症情報センターによると、他の人に感染する期間は、赤い発疹が出る4日前から、発疹が現れて4、5日後までとされています。

麻疹の一般的な潜伏期間は、10日程度です。その後発熱や風邪症状（2～4日）が出て、感染力が強まります。

麻疹（はしか）の感染ルート

•  咳やくしゃみから（飛沫感染）
• 空気中に飛び散ったウイルスから（空気感染）

予防のためにできること

麻疹の予防策は
・手洗い
・うがい
などですが、それだけで防ぎきれるとは言えません。

麻疹は感染力が強いため、免疫がないとすぐに感染します。赤ちゃんが1歳を過ぎたら、早めに予防接種を受けましょう。

感染者と接触してしまったら？

赤ちゃんが、麻疹の感染者と接触してしまったかもしれません。

まず、かかりつけの小児科などの病院へ相談してください。

重症化を防ぐ場合、月齢が6か月以上経過している場合で、特別にワクチン接種を避ける理由がなく、接触後72時間を経過してない場合は緊急のワクチン接種が考慮されます。

月齢6月未満児や72時間以上経過した場合には6日以内にγグロブリンの注射をすることで重症化を防げる可能性が期待されるとされています。

赤ちゃんが麻疹にかかったら…どう対処する？

発症したら、まずかかりつけの小児科に連絡し、医師の指示に沿って薬を使いましょう。

自宅ケアの方法

お家では、高熱が出るので脱水とならないようにこまめな水分補給を心がけます。

飲めれば、母乳やミルクでも構いません。食べ物は、食べたがらない場合は無理に食べさせなくてもよしとします。

お風呂は、咳もなくなり、熱が下がっていれば汗をかるく流す程度なら可能です。高熱があるときや元気がない時は、疲労が倍増するので入浴は控えてください。

完治までにかかる期間

1～2週間は、様子を見守りましょう。

保育園の登園目安

登園は、熱が下がって3日経過してからです。

ただし、全身症状をよく観察し、かかりつけの先生の指示に従いましょう。

病院の受診タイミング

赤ちゃんの場合、38度を超える高熱が出た際には必ず受診しましょう。

体力のない赤ちゃんは、急変する場合もあるので、必ず病院を受診しましょう。

受診時の注意点

麻疹が疑われる場合は、まずは事前に医療機関へ電話で連絡を入れましょう。

麻疹は感染力が非常に強いためです。
他の人にうつさないように部屋や入口を別に用意する場合もあります。

麻疹の治療法

麻疹には、特効薬はありません。赤ちゃんでも対症療法をとります。