インフルエンザの新薬ゾフルーザ!本当に使って大丈夫?【薬剤師解説】

公開日:2019-02-01 | 更新日:2021-05-25
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インフルエンザの新薬ゾフルーザ!本当に使って大丈夫?【薬剤師解説】

インフルエンザが、猛威をふるっています。
国立感染症研究所が発表した新しい報告(※)では、北海道・青森・秋田・島根の1道3県を除く、すべての都道府県で、インフルエンザが「本格的」に流行しているとのことです(1道3県は「流行継続中」「流行注意」)。
※感染症アラート(2019年1月14~20日版)

また、全国の調剤薬局から毎日送られてくるデータを集計した『薬局サーベイランス日報』では、2019年1月第3週(14~20日)のインフルエンザ患者数は、過去最高の207万人(推定)を記録しました。
翌第4週(21~16日)には早くもその記録を塗り替え、全国のインフルエンザ患者数は228万人に及んだと推定されています。

インフルエンザには、これまで、タミフル・リレンザ・イナビルなどの治療薬がありました。
昨年3月に発売された新しい抗インフルエンザ薬『ゾフルーザ』は、これまでのどの治療薬よりもよく効くと評判でした。
しかも、たった1日で治療が終わるという利便性から、全国の医療機関で処方されるようになりました。

しかし、1月末、ゾフルーザを服用した小学生2人から耐性ウイルスが検出されるなど、さまざまな問題も浮かび上がっています。

インフルエンザの特効薬と期待されたゾフルーザは、有効なのでしょうか。
薬剤師の石上和子さんのご意見を伺いながら、お話を進めていきたいと思います。

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監修者


薬剤師

石上 和子先生

経歴

静岡薬科大学出身、現在、管理薬剤師として関東の薬局で活躍中。

ウイルスの増殖そのものを抑える

インフルエンザの新薬ゾフルーザ!本当に使って大丈夫?【薬剤師解説】
ウイルスの増殖を防ぐという働きにおいては、新薬のゾフルーザも、他の抗インフルエンザ薬と一緒です。
違っているのは、ウイルス増殖を防ぐための方法(作用機序)です。
作用機序というのは、薬が、人体に、どのように働くかのメカニズムを言います。

タミフルの場合、インフルエンザウイルスが、周辺組織に感染をうつして広げようとして、細胞の表面から離れようとする酵素(※)を阻害します。
タミフルを服用すると、ウイルスが細胞から離れられなくなり、他の細胞への感染・増殖を防ぐのです。
※酵素:ノイラミニダーゼ。ウイルスの粒子を切り離す役割がある

これに対し、ゾフルーザは、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ活性を阻害します。

わかりやすく説明すれば、
インフルエンザウイルスは、転写(自分のコピー)と合成を繰り返して増殖しますが、ゾフルーザはウイルスの合成を阻むので、増殖を抑えることができるのです。
ウイルスを殺す力は、ゾフルーザのほうが100倍も強いといいます。

タミフル…増殖したウイルスが体の外に出るのを防ぐ
ゾフルーザ…ウイルスの増殖そのものを防ぐ

治療は、たった1回の服用

インフルエンザの新薬ゾフルーザ!本当に使って大丈夫?【薬剤師解説】
タミフル・リレンザとゾフルーザは、服用回数・日数も違います。

・タミフル…5日間服用(1日2回)
・リレンザ…5日間吸入
・ゾフルーザ…1回の服用のみ

イナビルも1回吸入で完了します

従来のリレンザ・イナビル・タミフルは、インフルエンザの予防薬として使うことができます。
抗インフルエンザ薬を服用すると、次のような予防ができます。

  • インフルエンザウイルスに感染しても、発症しない
  • 発症しても、軽症で抑えられる

予防の場合は保険適用ではなく、自由診療になります

ゾフルーザは、予防的には使えません(2019年1月現在)。

わざわざゾフルーザを処方しなくても…


※写真はイメージです

一部報道では、ゾフルーザの処方を希望する患者さんが後を絶たず、昨年3月に発売したばかりだというのに、4~9月には抗インフルエンザ薬のシェア65%を超えたとのことです。

年明けからインフルエンザ患者が急増し、ゾフルーザを製造する製薬会社は、増産を検討しているともあります。
いいことずくめのように思えるゾフルーザですが、副作用や耐性の問題などを心配する声も、以前からありました。
石上さんも、そのお一人です。

「1回の服用ですむので、ゾフルーザをおすすめしたいところですが、現時点では、個人的にはゾフルーザの処方には反対です」

その理由は何でしょうか。

「ひとつは、副作用に関するデータが、他の薬に比べて、圧倒的に少ないことです。もうひとつが、ゾフルーザの臨床試験の論文報告にもあるように、A型だけとはいえ、耐性ウイルス(※)が1割発現したことです」

小学生から検出された耐性ウイルスは、従来の抗インフルエンザ薬タミフルでも有効だったそうです。
耐性:ウイルス・細菌が薬の効き目に耐える力を持ち、薬が効かなくなること

だから、石上さんは、「わざわざゾフルーザを使わなくてもよかったのではないか」と首をかしげるのです。
しかし、こうも言います。

「耐性ウイルスさえ出なければ、ゾフルーザは画期的な薬なので、使用には賛成です。ですが、薬は、特に抗生剤や抗ウイルス剤は、必要最小限に使用すべきと思っています」

耐性が不安な患者にはタミフルが良い?

インフルエンザの新薬ゾフルーザ!本当に使って大丈夫?【薬剤師解説】
※写真はイメージです

ゾフルーザを服用した小学生2人から、耐性ウイルスが、検出されました。
石上さんは、「やはり出てしまった」と思われたそうです。

治験(※)では、ゾフルーザを服用した子供(12歳未満)の23%に、耐性ウイルスが検出されたとの報告もあります。
治験:薬の効き目(を臨床的に確かめる検定)

12歳以上(大人)は9.7%でした。

論文によれば、ゾフルーザが有効に効いた場合、服用から5日後のウイルス検出率が、わずか5%だったのに対し、耐性ウイルスが検出された場合は91%と、薬がほとんど効いていないことがわかります。

つまり、回復までに、よけい時間がかかるのです。

このような報告などから、ゾフルーザの処方を取りやめた病院もあるといいます。
日本小児科学会も、「十分なデータが得られていない」ことを理由に、ゾフルーザを推奨していません。

では、急な発熱・せき・悪寒など…インフルエンザのような症状がいきなり出たら、あなたはどうしますか――?
できるだけ早く会社に復帰したい、家事をあまり休みたくない・・・。

タミフルは、1日2回・5日間の服用が必要になります。
ゾフルーザは、たった1回の服用でタミフルより早く快方に向かうけれど、耐性の不安がないとは言い切れません。

どちらを選べばいいでしょうか?
石上さんにアドバイスをいただきました。

「インフルエンザは、安静を保てば快活に向かう病気なので、必要以上に大騒ぎしないことが大事です。インフルエンザかもしれないと思ったら、迷わず受診してください。副作用や耐性が心配なら、やはりタミフルを選んだほうがいいかもしれません。薬で心配なことがあれば、どんなことでも、医師・薬剤師に相談し、不安を取り除いたうえで処方されたお薬を服薬しましょう」

なによりも大切なのは、インフルエンザにかからないように、予防することです。

  • 予防注射をする
  • 外出先から帰ったら手洗いやうがいなどを行う

流行時期は、特に意識をして、インフルエンザを予防しましょう。

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※写真はイメージです

【参考文献】
薬局サーベイランス日報:全国47カ所に存在している調剤薬局(全薬局の20.17%)から、毎日送られてくる調剤情報を集計し,抗菌薬や抗ウイルス薬の処方箋数から、いくつかの感染症の発生状況を推定。公益社団法人日本医師会・公益社団法人日本薬剤師会・日本大学薬学部薬学研究科・株式会社EMシステムズの4者で共同運用

産経デジタルiZa『話題のインフル新薬「ゾフルーザ」に耐性ウイルス問題 日本小児科学会は使用を推奨せず』2019年1月29日付
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/190129/lif19012920180036-n2.html

ヨミドクター 読売新聞社 インフル新薬「ゾフルーザ」 タミフルとどこが違うの?…使い勝手がいいのに、専門家が「慎重な使用」を求めるワケ https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20190117-OYTET50026/

国立感染症研究所HP 感染症アラート 2019年1月14日~20日版
https://kansensho.jp/pc/if_alert.html

公益社団法人日本小児科学会HP  2018/2019 シーズンのインフルエンザ治療指針
http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/2018_2019_influenza_all.pdf

m3.com 臨床ニュース 第4回「ゾフルーザ」やっと出た論文を読んでみた! 福家良太(東北医科薬科大学病院)著 2018年10月3日付
https://www.m3.com/open/clinical/news/article/632823/

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静岡薬科大学出身、現在、管理薬剤師として関東の薬局で活躍中。

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