痛みが少ない!採血が不要な血糖測定器のメリット・デメリット

更新日:2020-05-29 | 公開日:2019-09-27
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痛みが少ない!採血が不要な血糖測定器のメリット・デメリット

健康管理のために、血糖値を測定することは大切なことです。最近は、家庭でも使用しやすい様々な血糖測定器が販売されていますが、その多くは血液の採取が必要なため使用を躊躇する方も少なくありません。

しかしながら2017年9月、インスリン使用患者さんに保険適用となったグルコースモニタシステム「FreeStyleリブレ」は2週間の連続装用が可能で、採血のストレスなく血糖値を測定できます。自費での購入も可能なため今後利用者の増加が予想されますが、その使用にはいくつかの注意点が必要です。

今回は、採血の必要がない血糖測定器をいくつか紹介するとともに、使用時の注意点などをわかりやすく解説します。

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執筆者
中西 真理 先生


薬剤師

中西 真理先生

経歴

公立大学薬学部卒。博士前期課程修了。薬学修士。 医薬品卸の学術にて一般およびコメディカル向けの情報作成に従事。その後、調剤薬局に勤務。

1.血糖値を測定することの重要性

血糖値は目に見えるものではありません。そのため、血糖値を知るためには何らかの方法で値を測定しなければなりません。ここではまず、血糖値と糖尿病の関係、血糖値の測定からわかる体の変化・得られるメリットについて説明します。

1-1. 糖尿病とは

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。血糖値は食事や運動などの影響で変化しますが、健康な方であれば膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きで、一定の範囲内に落ち着いています。

 

しかし、インスリンの分泌量が少ない・分泌されるタイミングが遅い・インスリンの作用が弱いなどといったことがあると、血糖値が下がりにくくなります。そして、血糖値が慢性的に高い状態が続くと「糖尿病」と診断されます。

 

糖尿病になっても、体のどこかに痛みなどが急に生じたりすることはありません。しかし、放置すると末梢神経や腎臓、目の網膜などに悪影響を及ぼす可能性があります。また、動脈硬化が進行し、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすおそれもあります。

1-2. 血糖値を測定すると何がわかる?

インスリン治療をしていない方の場合、血糖値を測定すると以下のことがわかります。

・食事や間食の前後に測定
→食べ物が血糖値に与える影響を知ることができます。

・運動の前後に測定
→運動の効果を知ることができます。

・糖尿病の薬を服用している場合(特に薬の服用を開始した場合や薬の変更があった場合)
→薬の効果を知ることができます。

・体調変化時に測定
→体調変化と血糖値の関係を知ることができます。

 

1-3. 血糖値を知ることで得られるメリット

血糖値の変化を知ると、食事や運動の影響、体調変化などとの関係がわかってくるので、生活習慣の改善がしやすくなります。

たとえば、食事や運動の内容を記録しておけば、それをもとに血糖値が上がりにくい食事・適度な運動などを組み合わせて良好な血糖コントロールを目指すことが可能です。また、薬剤を使用している場合には、低血糖(薬の影響で血糖値が下がりすぎること)を予測するなど副作用の予防にも役立ちます。

さらに長期的な視点では、糖尿病の合併症を防ぐことにもつながるため、血糖値の測定は非常に重要であるといえます。

2.血糖測定器の種類

血糖値を把握するためには、医療機関受診時だけではなく自宅でも血糖値を測定する必要があります。そこで、現在市販されている血糖測定器と開発中の血糖測定器を種類ごとに紹介します。

 

  • 採血が必要なタイプ

現在、もっともよく使用されているのは採血して血糖値を測定するタイプのものです。血糖値測定に必要なものは、測定器本体・穿刺器具および穿刺針・センサーです。そのほか、穿刺部分を消毒する消毒綿・記録ノート・使用済み針回収ボックスなどもあると便利です。

使用方法は血糖測定器ごとに若干異なりますが、一般的には、指先などに針を指して血液を採取し、血糖測定器で値を測定します。機器ごとに必要検体量(測定に必要な血液の量)が違うので、「血を見るのが苦手」など採血に恐怖心・不安感のある方は、少ない検体量で測定できるものを選ぶと良いでしょう。

その他、表示の見やすさ・データ保存の可否・スマートフォンとの連動の可否など様々な特色のある測定器が販売されているので、使いやすいものを選ぶようにしましょう。

なお、このタイプの血糖自己測定器で必要となるセンサーは体外診断用医薬品に分類されるため、薬局以外では購入できません。また、薬局で購入する場合も取り寄せになることが多いです。

関連記事:「痛みが少ない、価格が安いなど自費で血糖自己測定器を購入するときの選ぶポイントとおすすめ」

  • 数日間連続で血糖値の測定ができるタイプ(グルコースモニタシステム)

数日間連続で血糖値測定ができるグルコースモニタシステムでは、皮下にセンサーを留置して間質液(細胞と細胞の間にある液体)中のブドウ糖の値を測定します。測定されるのは血糖値そのものではありませんが、間質液中の糖の値は血糖値とある程度相関するため、血糖値の変動の推測に役立てることができます。なお、グルコースモニタシステムでは血糖値測定時に採血は不要ですが、センサー留置時に導入針の挿入が必要です。

2019年9月現在、数日間連続で血糖値が測定できる血糖測定器はいくつかありますが、そのほとんどは医療機関を受診しなければ使用することができません。しかし「FreeStyleリブレ」は市販でも購入することができます。

FreeStyleリブレはセンサーを上腕に装着し、専用の機器(リーダー)をセンサーにかざすことで血糖値を知ることができます。リーダー上の画面に24時間分の記録が表示可能で、専用ソフトを使えばパソコンにデータを取り込むこともできます。

 

  • 開発中のもの

現在(2019年9月)、採血もセンサーの留置も不要な血糖測定器の開発が進んでいます。

株式会社E3が開発中の「針を使わない血糖モニター KETTO」は、指をフィンガーグリップと呼ばれる部分に入れるだけで複数のセンサーがデータを取得し、約60秒で血糖レベルが測定できるとされています。穿刺針などの消耗品も不要であることから、環境に優しい商品として注目されています。

3.グルコースモニタシステム使用上の注意

血糖値測定時に採血の必要がないグルコースモニタシステムですが、使用にあたってはいくつかの注意が必要です。

3-1. 保険適用となる範囲が限定的

グルコースモニタシステムは、インスリン治療などを受けている患者さんに対して医療機関から処方された場合に限り、保険が適用されます。ただし、保険適用にあたっては、採血をともなう血糖自己測定を行うことが必須とされています。

逆にいえば、インスリン治療などを受けていない方・採血をともなう血糖自己測定を行わない方がグルコースモニタシステムの使用を希望する場合は、自費で機器やセンサーなどを購入しなければならないことになります。

また、一部のグルコースモニタシステムについては、一定の基準を満たす医療機関でしか使用が認められていません。

3-2. 採血による血糖測定が必要な場合も

グルコースモニタシステムは間質液の糖の値を測定するものなので、血糖値と全く同じ値にはなりません。また、血糖値の変化との間に5~10分程度のタイムラグがあるとされています。そのため、高血糖や低血糖が疑われる場合や、測定値から予測される症状と実際の症状が一致しない場合には、採血による血糖測定が必要となります。

その他、1日数回採血を行って値を補正しなければならない機器もあります。

3-3. その他

グルコースモニタシステムは、強い磁場や放射線などの影響で機器が正常に作動しなくなる可能性があります。そのため、CTやMRIによる検査・レントゲン撮影時にはセンサーや部品の一部を外す必要があります。また、ペースメーカーとの併用が禁止されている機器もあります。

4.グルコースモニタシステムを市販で購入する際の注意点

グルコースモニタシステムのうち、アボット社の「FreeStyleリブレ」は本体・センサーとも市販されています。Amazonや楽天市場などでも購入できますが、アボット社の正規代理店から購入するようにしましょう。

ただし、FreeStyleリブレで測定できるのは間質液の糖の値です。血糖値そのものではないので、測定結果をもとに服用薬の加減などをしないでください。また、体調や測定結果に不安などがある場合は、必ず医療機関で診察を受けてください。

なお、FreeStyleリブレは、ペースメーカー装着中の方には使用できません。また、CT検査・MRI検査・レントゲン撮影時にはセンサーを外してください。外したセンサーは再装着できないので、検査後は新しいものを使用してください。

5.おわりに

家庭で使用できる血糖自己測定器には様々なものがありますが、数日間連続で血糖値が測定できるグルコースモニタシステムは採血の必要がなく、専用のリーダーを使えば簡単に血糖値の日内変動や随時血糖値を把握することができます。一方で、グルコースモニタシステムで得られる値は実際の血糖値と異なることがあるので、正しい血糖値を知るためには採血をともなう血糖自己測定を実施する必要があります。

 

市販で入手できるグルコースモニタシステムとしては「FreeStyleリブレ」がありますが、その他の血糖自己測定と合わせて使用することで、生活習慣の改善や体調変化への対応に役立てることができます。処方されている医薬品によっては保険の適用が可能なこともありますので、興味のある方はかかりつけの医療機関へ相談してみましょう。

 

参考:
10月8日は、糖をはかる日
大塚製薬
ACCU-CHEK
【リブレ】47歳医師が自ら24時間血糖測定をやってみた、涙の14日間全記録〜その1(装着編)〜
KETTO
グルコース測定の新たな展開
糖尿病ネットワーク

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