おならは、人前で出ると恥ずかしいものです。 生理現象であり、我慢するのが難しい場合もあります。 しかし、人前ではなかなかできないため、無理して我慢してしまう人も多いのではないでしょうか。 また、臭いがある時やない時もあり、できれば臭いはなくしたいと思っている人も、いるのではないでしょうか?
監修者
荒牧内科
院長
荒牧 竜太郎先生
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業
おならは1日におおよそ400~1200mlほど作られています。 腸で作られたガスが、排出したのがおならです。 おならが出るのは、空気・ガスを体外に排出するためです。
食事と一緒に飲み込んだ空気や、善玉の腸内細菌が分解した物質の場合は、臭いの少ないガスがでてきます。 一方、悪玉の腸内細菌が分解したときに出てくるガスは、アンモニア・硫化水素などを含んでいるために、臭いガスになります。 このように、おならの臭いは、腸内の状態の目安として、判断することができます。 悪玉菌は、動物性食品や高脂肪、高タンパク質の食事が多くなると増えてきます。 臭いのないおならが出るということは、腸内の状態が良好な目安となるので、おならの臭いは時々チェックしておくといいでしょう。 おならが出るのは正常に腸が動いているという証拠でもあります。 盲腸の手術のあとにおならが出たかどうかを確認するのもそのためです。
おならがよく出る食べ物として知られているのが、焼きいも(サツマイモ)です。 なぜ、サツマイモを食べるとおならが出やすくなるのかというと、サツマイモには食物繊維が豊富に含まれているからです。
食物繊維は、腸で分解される時にガスを発生するため、おならが出やすくなります。 サツマイモだけでなく、食物繊維を多く含んだ食べ物は、同様におならが出やすくなります。
また、食物繊維以外では、動物性のたんぱく質を食べ過ぎた場合も、おならは出やすくなります。 動物性たんぱく質が、腸に長くとどまると、悪玉菌が増え、消化する時に臭いのあるガスを発生します。 そのため、サツマイモを食べた時よりも、おならの臭いはきつくなる傾向があります。
おならは人前では出しにくいので、特に女性は我慢してしまうことが多いのではないでしょうか。 しかし、無理して我慢していると、腸におならがたまっていき、たまりきれなくなると、一部が血液中に溶け出していきます。 そのため、口臭や体臭がきつくなったり、腸内環境が悪化し、肌荒れを引き起こしたりと、体にとって悪影響を及ぼします。 もともとは臭いのしないおならでも、我慢を続けていると体内に蓄積され、腸内環境が変化すると臭いが強くなる場合もあります。 できるだけ、おならは我慢しない方がいいのです。 おならは人前では出てほしくないものですが、腸内環境を良好に保つためにも、とても重要なものです。 腸内の状態を知るのにも役立つので、無理に我慢せず、トイレに行った際など、人がいないところでは、こまめに排出することが望ましいです。 臭いが強い場合は、腸内環境が悪いので、食事などを見直すようにしましょう。
【参考文献】 ドクターサロン61巻11月号(10. 2017)おならの原因 慶應義塾大学消化器内科専任講師 正岡建