軽いめまいが続いているけど、これ大丈夫…?
めまいが続くときに考えられる原因と対処法をお医者さんに聞きました。
「病院に行く目安は?」「何科に行くべき?」
頻発するめまいは病気のサインかもしれないので、心配な方はぜひ参考にしてください。
軽いめまいが続く…大丈夫?
起床時や夜間トイレに行ったときに、フラッとする軽いめまいが起きたというような場合は、あまり心配のないケースが多いです。一旦様子を見ましょう。
ただし、めまいの症状を何度も繰り返したり、激しい頭痛や吐き気、手足のしびれ等、他の症状が伴う場合には、病院に行きましょう。
何科に行けばいい?
耳鼻いんこう科、脳神経内科、脳神経外科の受診をおすすめします。
あなたのめまいはどの種類?
めまいには次の3タイプがあります。
種類 |
特徴 |
回転性のめまい |
目や周りの景色がぐるぐる回るように感じる |
浮動性のめまい |
身体がふわふわ浮いている感覚、グラグラする感覚 |
失神性のめまい |
目の前が暗くなる、血の気がサーッと引く感覚 |
ここから先は、めまいのタイプ別に、考えられる病気と対処法を解説していきます。
タイプ1.「回転性めまい」の治し方
回転性めまいの改善には、規則正しい生活とストレスを溜めないことが重要です。十分な睡眠時間の確保、バランスのよい食事を意識して生活しましょう。
その他、
- 体をゆっくり動かすようにする
- 光の刺激を避ける
- 喫煙を控える
- アルコールを過剰摂取しない
といったことを心がけましょう。
考えられる病気 |
症状の特徴 |
良性発作性頭位めまい症 |
1分以内のめまい、吐き気、嘔吐、起床時が多い |
メニエール病 |
1分以上続くめまい、耳鳴り、難聴、耳閉感 |
前庭神経炎 |
1分以上続くめまい(数日間激しいめまいが続く場合がある) |
脳卒中 |
グルグルするような激しいめまいが長く続く、はっきりしゃべれない、吐き気、嘔吐、しびれ、意識障害等 |
*良性発作性頭位めまい症の場合
めまいが起こったときに、姿勢や頭の向きを変える動作を繰り返し行うと、改善されるケースがあります。
*脳卒中の場合
脳卒中が疑われる場合は、発症後3~6時間以内に医療機関を受診するようにしましょう。
病院で受ける治療法
<良性発作性頭位めまい症>
エプリー法という体操(体や頭を動かす)を取り入れた治療が行われるケースが多いです。
めまいや吐き気を抑制する薬や点滴治療を行う場合もあります。
これらの方法で改善がみられない場合には、半規管にある耳石を除去する理学療法が行われます。
<メニエール病>
利尿薬や抗不安薬等を併用した投薬治療が行われるケースが多いです。生活習慣の指導も行われます。
これらの治療を行っても改善がみられない場合には、手術療法が行われる場合があります。
<前庭神経炎>
症状に合わせた薬物療法で治療を行います。
症状が落ち着いてきた時点で、身体を動かすリハビリ等を行う場合があります。
<脳卒中>
脳卒中そのものを治療するため、血管を再開通する注射や内服薬の投与、手術療法が行われる場合が多いです。
タイプ2.「浮動性のめまい」の治し方
背景にある疾患にもよりますが、適度な運動(ジョギング、ヨガ、ストレッチ等の有酸素運動)を行うことで症状が改善する場合があります。
その他、
- ストレスを溜め込まないようにする
- パソコン、スマホ、テレビ等の画面を長時間見ないようにする
- 水分をしっかり摂取する
といったことを心がけましょう。
考えられる病気 |
症状の特徴 |
うつ病(仮面うつ) |
フラフラするようなめまい、眠れない、頭が重く感じる |
高血圧 |
フラフラするようなめまい |
脳腫瘍(聴神経腫瘍) |
ふらつき、よろめくようなめまい |
脳梗塞 |
フラフラするようなめまい、手足のしびれ、ろれつが回らない |
病院で受ける治療法
<うつ病(仮面うつ)>
抗不安薬、抗うつ薬を用いた治療が行われる場合が多いです。
<高血圧>
降圧薬の長期服用により、血圧が低下し過ぎたことが原因の場合は、服用している薬を一時止めたり、他の薬に変更したりして対処します。
<脳腫瘍(聴神経腫瘍)>
腫瘍の巨大化を抑えるために、放射線を用いて腫瘍を焼く治療(ガンマナイフ治療)や手術療法で改善する場合が多いです。
<脳梗塞>
症状に合わせて、薬物療法(血栓の予防、血管詰まりの改善等)や手術療法が行われる場合が多いです。
タイプ3.「失神性のめまい」の治し方
失神性のめまいが起きたときは、仰向けにまっすぐ寝かせることで血液が脳に送られて、1分程度で意識が戻る場合が多いです。
日常では、十分な睡眠やバランスのよい食事等、生活習慣の改善を行いましょう。
その他、
- ストレスをうまく発散する
- アルコールやカフェインの過剰摂取をしない
といったことを心がけましょう。
*失神性めまいが起こりそうなときの対処*
目の前が暗くなりそうになった場合は、頭の位置を低くしましょう。横になれない場合は、しゃがんで上体を前方に倒し、頭を膝の間に入れるようにするよいです。
考えられる病気 |
症状の特徴 |
起立性調節障害(低血圧) |
立ち上がった際の瞬時のめまい、目の前が暗くなる、気が遠くなる、頭痛、失神、痙攣 |
不整脈 |
立ち上がる際のクラクラするようなめまい、目の前が暗くなる、吐き気、冷や汗 |
自律神経失調症 |
めまい、立ちくらみ、耳鳴り、倦怠感、動悸、しびれ、ほてり等 |
病院で受ける治療法
<起立性調節障害>
血圧を保つ作用を持つ薬剤を投与するケースがあります。
<不整脈>
基礎疾患(血圧異常、貧血、内分泌系疾患等)に対する治療がベースとなります。
薬物療法や外科的治療(ペースメーカーの埋め込み等)が行われることが多いです。
<自律神経失調症>
生活習慣の改善指導や、自律訓練法※等によるセルフコントロールの指導を行います。
症状に応じて、薬物療法(自律神経調整薬、抗不安薬等)、心理療法(カウンセリング)、理学療法(ストレッチ、マッサージ等)が行われることもあります。
※自律訓練法…自己催眠によって心身をリラックスさせ、自律神経のバランスを改善する方法。
軽いめまいでも、放置すると…
聴力に障害が生じたり、手や足の麻痺等の機能障害が起こる恐れがあります。
さらに、命に関わる重篤な疾患を見逃す恐れがあります。
「このくらいのめまいなら大丈夫!」と自己判断して、放置するのはやめましょう。
病院の受診目安
当てはまる症状がある方は、早めに医師に相談しましょう。
- めまいのあと、20~30分安静にしても吐き気や嘔吐が止まらない
- 激しい頭痛が続く
- ろれつが回らない
- 視界が狭くなる
- 手足がしびれる
- 体に力が入らない
- 物が見えにくい、二重に見える
- 意識が朦朧としている
めまい症状の伝え方
診察の際、医師に次の6ポイントを伝えられるようにしておくと、原因の特定や治療に役立ちます。
- めまいが起きるタイミング
- どのくらいめまいが続いたか
- どのような感覚のめまいが生じたのか
- めまい以外の症状も出現したか
- めまいが起きた後の状態について
- めまいが起きた回数