虫歯の進行速度はどれくらい？歯磨きで進行を止められる？

「虫歯の進行速度ってどれくらい？」
「虫歯の進行を遅くすることは可能？」

虫歯の進行速度について、歯医者さんに聞いてみました。

虫歯の進行を止める・遅らせるには、「歯磨き」や「食生活の見直し」がポイントに！
自身の「虫歯の進行段階」についてもチェックしましょう。

監修者

歯科医

菊地 由利佳先生

経歴

歯は健康に欠かせません。美味しいものを食べる・会話をする・美しい表情を保つ…、健康な歯は人生の質を高めます。歯の正しい知識を知って、より健康な日々を手に入れましょう。

虫歯の進行スピード

※虫歯の進行速度には個人差があるため、上記の表はあくまでも目安です。

虫歯には、進行具合によってC0～C5と5つの段階があります。
虫歯菌がエナメル質の内側にある「象牙質」に到達すると、進行スピードがより早くなる傾向があります。

また、日頃から歯磨きを怠っている人は、虫歯の進行スピードがさらに増すと考えてよいでしょう。

C0

COとは、初期の虫歯のことです。
歯の表面にあるエナメル質が溶けはじめている状態です。

この段階の症状の特徴としては、

• 歯が白く濁っている
• 歯に穴は空いていない
• 痛みもない

などで、分かりやすい症状がほとんど無く、虫歯であることに気づきにくいです。

個人差が大きく一概には言えません。

歯医者ではどんな治療をするの？

歯にフッ素を塗布して、歯の再石灰化を促進させます。

合わせて正しい歯磨きのやり方指導も行います。
フッ素を塗布治療は1日で終わりますが、定期的なメンテナンスで経過観察を行います。

この段階では、歯を削る治療は行いません。

C1

C1とは、歯の表面にあるエナメル質がさらに溶けてしまっている状態です。

この段階の症状の特徴としては、

• 歯が黒ずんでいる
• 痛みは無い
• 冷たい食べ物や飲み物で歯がしみる

などがあります。

歯医者ではどんな治療をするの？

C1の段階では、虫歯になってしまった部分を削って、そこにレジンと呼ばれる歯科用プラスチックを詰める治療を行います。

歯医者での治療は、1～2回で終わります。

C2

C2とは、象牙質（歯の内側層）まで虫歯が進行している状態です。
象牙質は柔らかいため、C0～C1よりも進行が速い傾向があります。

この段階の症状の特徴としては、

• 歯が黒ずんでいる
• 歯に穴が空いている
• 甘いもの・冷たいもので歯がしみる
• ときどき歯が痛む

などがあります。

歯医者ではどんな治療をするの？

C2の段階では、虫歯になってしまった部分を削って、レジンを詰めたり、インレーと呼ばれる詰め物を入れて、歯を補う治療を行います。

インレーの場合、歯型をとる必要があるため2～3回の通院が必要です。インレーができるまでには約1〜2週間かかります。

C3

C3とは、虫歯が神経まで到達している状態です。

この段階での症状の特徴としては、

• 歯が黒ずんでいる
• 冷たいもの・甘いもので歯がしみる
• 熱いものでも歯がしみる
• 普段からズキズキと激しい痛みを感じる

などがあります。

歯医者ではどんな治療をするの？

C3の段階では、根管治療を行います。

根管治療では、まず神経を取り除き、神経が入っていた根管と呼ばれる根の中を消毒します。その後、薬剤を詰めてクラウン（被せ物）を歯に被せます。

根管治療は、3～4週間かかります。
その後、クラウンの治療には歯の型取りが必要なので、2～3回の通院が必要です。クラウンができるため約1～2週間かかります。

C4

C4とは、歯の頭のほとんどが溶けて無くなってしまい、歯の根っこの部分まで虫歯になってしまった状態です。

この段階での症状の特徴としては、

• 歯が黒ずんで穴が空いている
• 痛みを感じない

ことが多いです。神経が死んでいるため、痛みを感じません。

ただし、膿が歯の根に溜まると痛みを感じます。

歯医者ではどんな治療をするの？

C4の段階では根管治療ではなく、抜歯をして、入れ歯やインプラントなどを用いて、歯の機能を回復させます。

治療は、1日で終わります。

虫歯の進行が早くなる場合

奥歯は、虫歯になりやすく、進行も速い傾向にあると考えられるでしょう。
特に奥歯の噛み合わせ面や、歯と歯の間、根っこの部分は要注意です。

また、唾液の量が少ないと口の中の乾燥を招き、虫歯の進行に影響します。

こんな生活習慣はNG！虫歯の進行を早めるかも…！

虫歯の進行は、歯磨きで止められる？

COと呼ばれるごく初期の虫歯では、正しい歯磨きによって進行を止められる可能性が高いです。

この段階は、歯の表面にあるエナメル質が溶けはじめて、白く濁った状態で、まだ歯に穴は空いていません。

こんな症状は「歯医者での治療」が必要です

• 歯の表面が溶けて黒ずんだ状態
• 歯に穴が空いた状態
• 甘いもの・冷たいもので歯がしみる
• 熱いもので歯がしみる
• 時々～普段、痛みを感じる

などの症状は、C1以上の段階であると考えられるため、歯医者での治療が必要です。

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正しい歯磨きのしかた

正しい歯磨きを行い、歯の表面についている歯プラーク（歯垢）を取り除きましょう。

また、歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークをきれいに取り除くのは難しいです。
デンタルフロスや歯間ブラシも使い、細かい汚れも落としましょう。

食習慣の見直しも大切！

1. 間食を避ける
2. キシリトールガムを噛む
3. よく噛んで食べる

などの食生活の見直しを行いましょう。

その①　間食を避ける

虫歯菌は「糖」をエサにして歯を溶かす酸を作り出すため、甘いものなどの間食は、酸を作る機会を増やして虫歯を進行させてしまいます。

もしも間食（おやつ）をとるのであれば、時間を決めて食べるようにしましょう。
時間をかけてダラダラと食べ続けていると、その間口の中でむし歯菌が酸をつくり続けてしまうことになるからです。

また、食べた後には歯磨きをすることもおすすめです。

その②　キシリトールガムを噛む

おやつを食べるのであれば、砂糖たっぷりのお菓子ではなく、キシリトール配合のガムがおすすめです。

また、歯の成分であるカルシウムやリン酸を配合した商品もよいでしょう。

おやつ代わりに食べると虫歯菌のエサとなる「糖」を避けられることに加えて、ガムはよく噛むことで唾液の分泌を促すため、虫歯の予防や進行防止にいいです。

その③　よく噛んで食べる

よく噛むことで、唾液が分泌され、虫歯の進行防止につながります。

唾液の分泌による、再石灰化や口の中の汚れを洗い流す働きで虫歯の進行を防ぎましょう。

虫歯は「早めの治療」が鍵です！

早期治療することで、歯を削る、神経を抜く、歯を抜くなど、負担が大きい治療をしなくて済む可能性があります。

また、その分治療にかかる費用や時間も抑えられます。

「虫歯かも…」放置すればするほど…

虫歯の治療は痛い・怖いイメージがあると思いますが、放置すればするほど“大掛かりな治療が必要”になっていきます。

早めに受診・治療を開始することで、虫歯の進行を防ぎ、痛む・しみるなどの症状を改善できるだけでなく、最小限の治療や経過観察で済む可能性があります。

虫歯が悪化すると最終的には抜歯をしなくてはならないため、早めに受診しましょう。

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