妊娠中の頭痛の原因｜女性ホルモンや貧血かも。ツボやコーヒーで解消できる？

妊娠中の多くのママを悩ませる頭痛。
妊娠前から頭痛持ちだった方や「妊娠してから頭痛が頻発するようになった…。」という方も多くいらっしゃいます。

お医者さんに、妊婦の頭痛の原因や対策について聞きました。「市販薬を飲んでもいいのか」も聞いたので参考にしてくださいね。

監修者

石野医院

副院長
石野 博嗣 先生

経歴

1999年　日本医科大学産婦人科教室入局　日本医科大学付属病院　産婦人科研修医
2001年　国立横須賀病院（現 横須賀市立うわまち病院） 産婦人科
2002年　東京都保健医療公社　東部地域病院　婦人科
2003年　日本医科大学付属病院　女性診療科・産科 助手代理
2004年　日本医科大学付属第二病院　女性診療科・産科　助手
現在　石野医院の副院長

妊娠中よくある頭痛の原因

妊娠中は、「頭が痛い…」という女性が増えます。

妊娠中の頭痛の代表的な原因として

1. 女性ホルモンのバランスの変化
2. 鉄欠乏性貧血

の2つがあげられます。

原因①　女性ホルモンのバランスの変化

妊娠により、プロゲステロンという女性ホルモンが増加し、ホルモンバランスが変化します。この女性ホルモンが血管を拡張し、片頭痛を発症させる場合もあります。

また、妊娠により体の機能は変化しストレスを感じやすくなっています。これもホルモンバランスが乱れる原因になります。

対処法としては、片頭痛を感じたら、動くのをやめ、安静にしてください（片頭痛は、血流が良くなるとさらに悪化します）。痛む部分を冷却シートや冷タオルなどで冷やすと楽になります。

運動したりお風呂に入ったりして体が温めると血流がよくなり、痛みが増すことがあるので注意しましょう。
また、光や音の刺激を受けると痛みが増すこともあるので注意してください。

妊娠中は、頭痛薬の服用は主治医に相談しましょう。

原因②　鉄欠乏性貧血

妊娠すると胎児や胎盤を作るために鉄が多く使われてしまいます。赤ちゃんに鉄分が送られている状態です。そのため、鉄欠乏性貧血になってしまう妊婦さんがいます。

鉄欠乏性貧血は、頭痛を引き起こすことがあります。

鉄欠乏性貧血とわかっているのであれば、鉄分の補給で快方します。食品の鉄は吸収率が低いため、鉄のサプリメントや鉄剤を取るようにするのが一般的です。
妊娠中であれば、独断でサプリメントを摂取するのではなく、通院している産婦人科で指示を受けましょう。

妊娠中の頭痛の対処法

頭痛になってしまったときの対処として

• ツボを押す
• リラックスする
• 血流を上げるための軽い運動をする

のがおすすめです。

頭のツボ「百会」

自律神経を整え、頭痛や肩こりを解消する百会というツボを押してみましょう。頭の上の両耳と鼻が交差する部分です。

リラックス

妊娠中頭痛がするときは、安静にして休みましょう。ストレスを溜めないようにして、リフレッシュする環境を整えましょう。ホットアイマスクで緊張を和らげたり、ハーブの香りでリラックスするのもよいでしょう。

他にも、片周りや首、背中などを動かしてストレッチしたり、カイロで温めたり、入浴するとよいでしょう。

妊娠するといろいろなことが気になって、不安や心配が原因でストレスを溜めやすくなります。また、ストレスが原因で緊張していると肩こりや体全体の血流も悪くなり、頭痛を引き起こし易くなります。

血流を促す運動

適度な運動は、肩こり改善・血流改善になり、頭痛予防にもなります。腕を回す運動や、ストレッチを取り入れましょう。
汗がダラダラでたり、息が切れるような運動ではなく、ウオーキングや水中歩行など、ちょっと汗ばむ程度の運動がおすすめです。脈拍が100〜120拍／分前後くらいになる運動がよいです。

＜注意＞
激しすぎる運動は、血流が回り頭痛が悪化する場合があります。

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市販の頭痛薬は飲んでもいいの？

妊娠中に市販の頭痛薬を飲んでもいいですか？

妊娠中は、自己判断で市販薬を飲むのは避けましょう。
市販薬でも、医師・薬剤師に確認すれば可能なものもあります。できれば、妊娠していても飲める薬を医師に処方してもらいましょう。

妊娠中でも使用できる頭痛薬・鎮痛剤はあります。通っている産婦人科で処方してもらいましょう。また、頭痛は内科でも診てもらえますが、内科を受診する場合は必ず妊娠していることを伝えましょう。

市販薬を飲んでしまった場合

妊娠初期に、妊娠に気づかず市販の頭痛薬を飲んでしまいました。

薬を飲んでしまったと思ったら、まずは医師や薬剤師に確認してみましょう。
特に薬の影響が出るとされるのは、妊娠週4〜7週（胎児のほとんどの臓器が形成される時期）です。

受精前および受精から 2 週間（妊娠3週末）までは薬によって奇形が起こらないとされています。妊娠8週以降はごく少数ですが、影響がある医薬品もあります。13週以降は薬によって奇形は起こらないとされています。

よくある質問：カロナールなら大丈夫？

カロナール（アセトアミノフェン）は比較的副作用が少なく、作用も穏やかな薬なので妊娠中でも飲める頭痛薬です。

ただし、薬の添付文書（お薬の説明書）には、「妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。」とされています。

また、妊娠後期に服薬した場合、胎児に動脈管収縮を起こすことがあります。必ず医師の判断により、服用をしましょう。

よくある質問①コーヒーで頭痛緩和できる？

コーヒーを飲むと頭痛は緩和されるのでしょうか？

コーヒーが頭痛改善につながるとは言い切れません。
飲みたい場合は1日マグカップ2杯程度にとどめましょう。

コーヒーに含まれるカフェインは、血管収縮作用があるので、頭痛に良さそうですが、一概にそうとは言えません。頭痛を感じている時は、頭痛でのストレスの影響もあり拡張と収縮を繰り返している場合があるので、コーヒーを飲んだからといって、頭痛が軽減されるとは言い切れないのです。

また、妊娠中にカフェインを摂りすぎると胎児が低体重になり、将来の健康リスクがあると危険性が指摘されています。妊娠中は、コーヒーは、マグカップ2杯程度にとどめるよう厚生労働省からも発信されています。

よくある質問②冷却シートを貼るのはOK？

ひえピタのような冷却シートをおでこに貼っても大丈夫でしょうか？

はい、大丈夫です。
片頭痛の場合、頭を冷却シートで冷やすと楽になります。

緊張型頭痛の場合、冷やすと逆効果なので、やめましょう。

妊娠中に注意すべき頭痛

妊娠中の頭痛は過剰に心配しなくてもいいケースも多いですが、中には“注意すべき頭痛”のケースもあります。

妊娠高血圧症候群

頭痛を伴う、妊娠高血圧症候群という病気があります。

妊娠高血圧腎症というものを発症すると赤ちゃんの発育に影響が出る場合があります。重症になると母体は、脳出血・肝臓、腎臓の機能障害・肝機能障害などを引き起こします。

また、赤ちゃんへの影響もあり、発育不全や常位胎盤早期剥離（胎盤が子宮の壁からはがれてしまい、赤ちゃんに酸素が届かなくなる）や、最悪、胎児が死亡する場合もあり、母体の管理が必要となります。

病院を受診すべき頭痛

• 「妊娠高血圧症候群」の症状がでている
• 今までに感じたことのないような頭痛がある

場合は、すぐに病院を受診してください。

特に

• ガンッと衝撃のある頭痛
• どんどんひどくなる頭痛

には注意してください。脳出血や脳梗塞の可能性が潜んでいる場合があります。

妊娠中の頭痛は「病院は何科？」

まずは、かかりつけの産婦人科に受診しましょう。

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