公開日:2021-05-25 | 更新日:2021-10-28
新生児がミルクを吐き戻す…。
「母乳は吐かないのになぜ?」
「もしかしてミルクがあっていないの?」
大量に吐き戻す場合や、ミルクだけを吐き戻す場合の対処法も聞きました。
新生児がミルクを吐く理由

母乳と異なりミルクは飲みやすく、赤ちゃんはゴクゴクと飲めてしまいます。そのため空気も一緒にのみ過ぎてしまい、嘔吐しやすくなる場合があります。
また、新生児は胃の逆流防止の機能などの体の器官が未発達なため、飲んだミルクや母乳を吐きやすいです。
新生児の胃はとても小さいので、思っている以上に少しずつしか飲めない子もいます。基本的には、成長に伴い徐々に上手に飲めるようになっていきます。
ただし、大量の嘔吐を何度も繰り返す場合、何らかの異変が起きている可能性もあるので医療機関への相談が必要となります。
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“ミルクだけ”を吐く理由
母乳は吐かないのですが、ミルクだけ吐きます。
なぜでしょうか?


母乳に比べてミルクは飲みやすいためです。
胃の容量より多く飲んでしまうことによって、「母乳は吐かないのにミルクだけ吐いてしまう」という場合があります。
“ミルクだけ吐く”場合の対処法は?

- 1回に与えるミルクの量を減らす
- ゲップをさせてあげる
- ガス抜きマッサージをしてあげる
などが効果的と考えられます。
ミルクの量を減らすために、授乳時間や間隔の調整をしたり、泣いている時は授乳以外のあやし方を試したりするのがよいでしょう。
新生児が「ミルクを吐きそう」なときの対処

ミルクを飲ませた後にゲップをさせるようにしてください。
また、すぐ横に寝かせずに少し縦に抱っこをして頭を起こしておくようにしてみましょう。
ただし、全く吐き戻しをさせないようにするのは難しいです。
新生児は、体の器官が未発達なことによりどうしても吐き戻しや嘔吐をします。吐き戻しをしやすい体質の赤ちゃんもいますが、成長に伴って吐き戻し回数は徐々に減っていきます。
※また、吐き戻しをさせないためにミルクを極端に減らすのは避けてください。
新生児が「ミルクを吐いた」ときの対処法

鼻の中、口に中に嘔吐物が詰まっていないか確認をしてください。
また、衣類や顔が汚れてしまった場合は、着替えさせて汚れも拭き取とるようにしましょう。
ミルクが皮膚に残っていると皮膚のかぶれの原因になります。
ミルクを吐いても様子をみて大丈夫?

吐いた後も機嫌が悪くなく元気であれば、健康には問題がないことが多いです。
次からミルクを少しずつ与えて様子をみても大丈夫でしょう。
ただし、
- 吐いた後にぐったりしている
- 継続してミルクを一気に大量に吐き、体重が増えない
- 下痢
- 血便
- 発熱
- 顔色が悪い、呼吸が苦しそう
を伴っている場合は、医療機関を受診しましょう。
これらの症状は、「幽門狭窄症」や「胃食道逆流症」、「ウイルス性下痢症」、「腸重積」などのケースもあります。 放置すれば、栄養不良になったり、病気が重篤化することもあります。悪化して緊急手術のこともあるので、早めに小児科の医師に相談しましょう。
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「吐いた後に欲しがる」ときはミルク量を減らしてあげて
吐いてもミルクを欲しがっている…あげても大丈夫?


飲ませてあげて大丈夫です。
吐いたあとは、先ほど与えた量よりも減らしてあげて、様子を見ましょう。
胃のなかが空っぽになってお腹が空いてしまっている状態だと考えられます。
そのため、ミルクを与えても問題ありません。
「あまり心配しなくてもよい」吐き戻し
赤ちゃんがどのような様子であれば、心配しなくてよいでしょうか?


吐き戻しても、機嫌が良く元気であれば、基本的には心配しなくてもよいでしょう。
「要注意」の吐き戻し

- 授乳のたびに、ミルクを噴水のように大量に吐く
- 体重が増えていない・増えにくくなった
などがある場合は、要注意です。医療機関を受診しましょう。
肥厚性幽門狭窄症、胃食道逆流症、胃柚捻転などが原因となっている可能性があります。
肥厚性幽門狭窄症
(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)
生後約2~3週の頃から胃の出口部分の筋層が厚くなり、胃の出口が狭くなる病気です。徐々にミルクの通過が悪くなり、飲んでも吐いてしまうようになります。ミルクを噴水状に勢い良く吐くのが特徴的な症状です。
胃食道逆流症
(いしょくどうぎゃくりゅうせいしょう)
胃に入ったミルクや食事が、 食道に逆流してさまざまな症状をおこす病気です。 無症状で逆流するだけであれば胃食道逆流現象といい、新生児・乳児ではよく認められる生理的なものです。
胃柚捻転
(いじくねんてんしょう)
胃がねじれることによって、嘔吐・腹痛・腹部膨満などの症状を呈する病気です。
出生直後から発症し、腹部膨満、ミルクの嘔吐、ゲップがへた、頻回におならをする、寝かすと不機嫌などが特徴的な症状です。
ケース1.吐いて気管にはいった
ミルクを吐いた後、気管にはいって苦しそうです。
どうすれば?


縦に抱っこして、優しく背中をさすってあげましょう。
ただし、顔色不良や呼吸困難が続く場合は、医療機関を受診しましょう。吐いたミルクが肺に入って炎症を起こすことがあります。病院に行かずに放置した場合、命の危険にさらされることもあります。
ケース2.大量に吐いた
ミルクを大量に吐きました…。
なぜでしょうか?

ミルクの飲みすぎの場合、胃の大きさを超える量のミルクを飲んでしまい、吐いてしまった可能性があります。1度大量に吐いても、その後機嫌が良く元気そうにしていれば、問題はないでしょう。
感染症などの疾患の場合、
- 吐いたときの様子がいつもと違う
- ミルクを与えるたびに大量に吐く
- 元気がない・機嫌が悪く泣いている
はといった症状がでることがあります。
ミルクの嘔吐を何度も繰り返す場合は、医療機関を受診しましょう。
何らかの感染症や病気の可能性も考えられます。
ケース3.飲むとすぐに吐く
毎回、ミルクを飲むとすぐ吐きます…。
なぜでしょうか?


身体の器官が未発達なことにより、吐いてしまっている状態だと考えられます。
新生児は、体の成長が進むまではどうしても吐き戻しはあります。
口の脇からたらたらとミルクが流れる(溢乳)、多めに吐く(嘔吐)どちらも新生児にはよくあることです。
あまり神経質にならずに、縦抱っこでミルクを飲ませる、ゲップをさせるなどを忘れずに行いましょう。
ただし、大量の吐き戻しを何度も繰り返してしい体重の増えが悪いという場合は医療機関を一度受診してみましょう。
ケース4.鼻からでてきた
ミルクを鼻から出しました…。
なぜでしょうか?


鼻と口はつながっているので、鼻までミルクが戻ってしまい、吐き戻しのミルクが鼻から出てきた状態が考えられます。
鼻からでてきたミルクを、優しく拭ってあげましょう。
吐いたあとも特に機嫌も悪くなく元気な様子、いつも通りという場合は、そのまま様子をみてみましょう。
ケース5.ドロドロのミルクを吐いた
ドロドロ状のミルクを吐きました…。
なぜでしょうか?


胃の中で消化が始まったものが吐き戻された状態が考えられます。何らかの腹圧が加わり吐き戻しをしたと考えられます。
新生児のミルクの吐き戻しは、飲んだ形状のままの物が多いですが、ときにドロドロの物を出す場合もあります。
吐き戻したミルクを優しく拭ってあげましょう。
吐いたあとも、機嫌も良く元気な様子、いつも通りという場合は様子をみてみましょう。
大量に吐き戻す場合は病院に相談を

- ミルクを噴水のように大量に吐き戻す
- 吐いた後にぐったりしている
- 発熱
- 下痢
- 血便
などがある場合は、医療機関を受診してください。
「幽門狭窄症」や「胃食道逆流症」、「ウイルス性下痢症」、「腸重積」などのこともあります。 放置すれば、栄養不良や重篤化することもあります。悪化して緊急手術のこともあります。
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