なぜ治らない？赤ちゃんの下痢の見分け方。元気なときは？受診目安は？

なぜ？赤ちゃんの下痢が治らない原因は？
元気な場合は問題ない？

「正しい対処法」と、「注意するべき下痢」についてお医者さんが紹介します。

監修医

高座渋谷つばさクリニック

院長
武井 智昭 先生

経歴

公益社団法人 日本小児科学会　小児科専門医

2002年　慶應義塾大学医学部を卒業
2002年　慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年　立川共済病院勤務
2005年　平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年　北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年　横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年　「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年　「高座渋谷つばさクリニック」院長就任

赤ちゃんの下痢は長引きやすい

赤ちゃんの下痢は、長引きやすいといえます。
これは赤ちゃんの体の機能がまだ未熟であり、飲んでいるものが脂質が多く、腸の粘膜の機能の戻りが遅いことが原因です。

赤ちゃんによっては、体調が悪くなるとすぐお腹がゆるくなる体質の子もいます。一度下痢をすると、2～3週間もひきずるケースもよくあります。

※離乳食前の赤ちゃんは、母乳やミルクなど液体しか飲んでいないので、基本はゆるい便です。

この下痢…大丈夫？下痢の見分け方

なかなか下痢が治まらなくても、赤ちゃんが元気そうな場合は、あまり神経質にならなくても大丈夫です。しかし、下痢が“病気のサイン”のケースもあります。

赤ちゃんの“あまり心配しなくてもよい下痢”・“病的な下痢”の見分け方を解説します。

一旦、お家で様子をみてもいいケース

赤ちゃんの機嫌や食欲などの様子も一緒に確認して、いつもと変わらない様子であれば、一旦様子をみてもよいでしょう。

お腹が冷えたり、食べすぎたりすると、下痢を起こすことがあります。

食べ過ぎの場合は、食べたものの色が不消化で、そのまま便にでることがあります。

冷えやロタウイルスなどのウイルス感染の場合は、酸っぱいような臭いになることがあります。

病的な下痢である可能性が高いケース

• 下痢が白い・赤い・赤黒い
• 酸っぱい臭い・卵が腐ったような臭いなど、“明らかにいつもと違う”臭い
• イチゴゼリー状の血便（※緊急性あり）

の下痢の場合は、病気が隠れている可能性があります。

また、元気な様子でも下痢が１週間以上続いている場合は医療機関へ行きましょう。風邪が長引いていたり、何らかウイルス感染（ロタウイルス　等）を起こしている可能性があります。

また、イチゴゼリー状の血便の場合は腸重積が疑われます。早急に医療機関（小児科など）を受診してください。

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特に“要注意”のケース

赤色や黒色が混ざっている下痢は、どこかで出血をしている場合があります。
嘔吐を伴う下痢は、「①細菌性腸炎」や「②腸重積」などの病気も考えられます。

出血・嘔吐が続くときは、医療機関を受診してください。

赤ちゃんの下痢が治らない「よくある3つの原因」

よくある「赤ちゃんの下痢が治らない」として

1. 風邪が長引いている
2. ウイルスに感染している
3. 体が冷えている

の3つがあげられます。

下痢をしていても元気・あやすとよく笑う・よく飲んだり食べたりできるのであれば、あまり問題はありません。

原因1.風邪が長引いている

風邪や体調が悪い時は、腸の動きが悪くなり下痢をしてしまうことがあります。

赤ちゃんの体調不良が長引く原因として、体力や免疫力の低下が考えられます。体調が戻れば徐々に下痢も良くなります。

下痢の特徴

• ドロドロで酸っぱいような臭いの便
• 水っぽい下痢が続く

など

対処法

体を冷やさないようにしてあげましょう。

いろいろなものが食べられる月齢の赤ちゃんには、消化の良いおかゆやうどんなどを食べさせます。食欲がない時は母乳やミルク、経口補水液などで水分補給をしましょう。

反対に、避けたほうがよい食べ物・飲み物もあります。
海藻やキノコ、ゴボウ・タケノコなどの野菜は、食物繊維が多く、消化に時間がかかります。下痢が長引く原因になるので避けましょう。

また、柑橘系のジュースも下痢・嘔吐が続いている間は避けるようにしてください。

原因2.ウイルスに感染している

子どもの下痢は、ウイルス感染が原因のことが多いです。

ノロウイルスやロタウイルスなどに感染すると、胃腸炎を起こして下痢や嘔吐をします。食べたものや飲んだものを大量に吐き戻し、下痢が始まります。

下痢の特徴

• 水のような下痢が大量に出る
• 酸っぱいにおいの下痢がでる
• 白っぽい便になる（ロタウイルスに感染の場合）

対処法

水分や食べ物を与えないようにすれば、通常半日程度で嘔吐はおさまります。
吐き気がなくなった後は、脱水を避けるため、母乳やミルク、経口補水液、水などで水分補給しましょう。

こんなときは、すぐに病院へ！

• 嘔吐が止まらない
• 下痢が続く
• ぐったりしてきた
• 意識が薄い
• 意識がない

原因3.体が冷えている

体が冷えてしまうと、下痢を起こすことがあります。

下痢の特徴

• 急に下痢が始まる
• 水下痢
• 酸っぱいようなにおいの便が出ることもある

対処法

暖かい室内に移動して、ゆっくり過ごしましょう。
下痢をしている間の離乳食は、おかゆやうどんなど消化の良いものを与えます。

下痢中の「おすすめの飲み物」

乳幼児用イオン飲料や野菜スープの上ずみなどがよいでしょう。

下痢の時には、ナトリウムやカリウムなどの電解質が失われます。乳幼児用イオン飲料は、それを補い、水分も補給できます。

下痢中の「おすすめの離乳食」

おかゆ・うどん・豆腐・バナナの裏ごしなどがよいでしょう。

「柔らかく茹でる」といった調理法をおすすめします。

反対に、油を多く使う揚げ物やあまり火を通していないものなどは避けましょう。キノコやレンコンなどの繊維の多いものや、バター、マーガリンのような脂肪の多いものは避けたほうがよいでしょう。

市販薬について

市販の下痢止めを服用させてもいいでしょうか？

市販の下痢止め薬は、自己判断で赤ちゃんに飲ませないでください。
まずは、かかりつけの先生に相談しましょう。

下痢は消化できないものやウイルスを外に排出している状態です。基本的に、下痢を無理に止める必要はありません。

※ぐったりしてきたり、元気がなくなってきたりした場合は、医師の判断で下痢止めを使うこともあります。

整腸剤を飲んでも治らない…なぜ？

整腸剤を飲ませても治りません。なぜでしょうか…？

• 風邪が長引いている
• 何らかの病気（ウイルス感染、細菌性腸炎など）が隠れている

という可能性もあります。

体を冷やさないようにする、おすすめの離乳食を与えるなどをしましょう。

それでも下痢だけの症状が１週間以上続く場合は医療機関へ行きましょう。

病院の受診目安

• 酸っぱい臭いの下痢が2～3日以上続く
• 白っぽい下痢が2～3日以上続く
• 赤・黒色が混じった下痢がある
• 卵が腐ったような臭いの下痢がある
• 下痢に加えて、ぐずりが長い、機嫌が悪い
• イチゴゼリー状の下痢がでた（緊急性が高い）

という場合は、医師の診察を受けましょう。

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母乳が原因なの？

通常、母乳が下痢の原因となることはありません。

ただし、なかには「乳糖不耐性」という症状がでる赤ちゃんもいます。母乳やミルクで下痢をしてしまい栄養吸収が悪くなる症状です。
この病気は、牛乳や乳製品を飲んだときにわかるので、1歳ごろわかることが多いです。この場合は、乳糖不耐性用のミルクに変更すれば下痢も良くなります。