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急に鼻血が止まらない病気。紫斑病は突然発症する!?原因や症状は?

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EPARKレポート-病気と健康
子供も大人もなる紫斑病ってなんですか?

【執筆・監修】
荒牧竜太郎(荒牧内科院長)
【経歴】
福岡大学病院
西田厚徳病院
平成10年 埼玉医科大学 卒業
平成10年 福岡大学病院 臨床研修
平成12年 福岡大学病院 呼吸器科入局
平成24年 荒牧内科開業

血管から出血した場合、ふつうは血小板や血管壁などの働きで、血は自然に止まるようになっています。
しかし、何らかの原因で、この働きに異常が生じると、皮膚・関節・腎臓などの血管から出血が起こり、跡(紫斑)が残ります。
このような病態の時に起こるのが、紫斑病です。
今回は、この紫斑病について、医師がわかりやすく解説します。

 

 

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紫斑病とは?

皮膚・粘膜が紫色になること

紫斑病は、
目に見えるかたちで皮膚・粘膜が紫色になること、それを主な症状とする疾患です。
原因には下記のようなものがあります。

  • 血液成分異常(血小板の減少)
  • 機能異常(血管内圧亢進)
  • 血管支持組織の脆弱化
  • 血管の病的変化(血管炎)など

紫色の発疹は、色素による着色なので、指で押しても消えません。

色素は主に3つ!

色素は主に次の3つがあります。

・ビリルビン
・ヘモグロビン
・ヘモジデリンなど

 

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紫斑病には2種類ある!

紫斑病は、次の2つに分けられます。
血小板減少性紫斑病…止血作用を持つ血小板が減少して発症する
血管性紫斑病…血管の炎症により発症する

それでは具体的に見ていきましょう。

① 血小板減少性紫斑病

風邪・風疹・はしかなどの後にできた抗体が、自分の血小板を破壊してしまい、急激に血小板が減少するのが原因となります。
抗血小板抗体ができる原因は、現在、明らかになっていません。
急性と慢性があり、小児では急性が多くを占めています。
ウイルス感染症などの1~4週間後に、いきなり次のような症状が起こることが多いとされています。

  • 皮膚に出血斑が現れる
  • 鼻血が止まりにくくなる

出血斑は、紫色から徐々に茶色に変わり、10日ほどで消失しますが、新たに出血斑が出現してくる場合もあります。
多くのケースでは、3ヶ月ほどで自然に快方に向かいます。
しかし、慢性では、6ヶ月~数年間にわたり、紫斑が出現したり消失したりを繰り返すことがあります。

 

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② 血管性紫斑病

血管性紫斑病(アレルギー性紫斑病・ヘノッホ・シェーライン紫斑病・IgA血管炎)
小さい血管でアレルギー反応が生じ、血管が脆くなり、出血・浮腫が起こる病気です。

風邪や溶連菌などの、細菌感染を患った後に形成される、免疫複合体が原因で、アレルギー反応が起こります。
すると、毛細血管壁から血液細胞・体液成分が漏れ出て、紫斑が現れます。
3~10歳くらいの年代で発症しやすいと考えられています。
次のような症状が出ます(痒みを伴うケースもあります)。

・手足のむくみ
・紫斑の出現(点状から硬貨大)
・腹痛からの血便
・関節の腫れ・痛み
・腎炎など

腎臓の血管に変化が生じた場合は、血尿や蛋白尿が続く場合があり、これを紫斑病性腎炎といいます。

治療法について

①血小板減少性紫斑病の治療法

症状が軽い場合には、経過を観察するケースがあります。
しかし、血小板の数が3万以下まで減少する時(※)や、出血の症状が強いなどの場合には、次のような製剤を使用することがあります。
・免疫グロブリン…血小板を増加させる働きがある
・ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)…炎症・免疫を抑えるために使用

※血小板の数が1万~2万/µL以下に低下すると、口腔内出血・鼻出血・下血・血尿・頭蓋内出血などの重篤な出血症状が出現するので、3万/µL以下では製剤を使う

慢性型で、これらの製剤が無効な時には、次のような治療法が行われることがあります。
・免疫抑制薬の使用…体内で起こっている異常な免疫反応を抑える
・脾臓の摘出…血小板は脾臓で破壊されるので、脾臓を摘出し、破壊を防ぐ

② 血管性(アレルギー性)紫斑病の治療法

残念ながら現状、根本的な治療法はありません。
しかし、自然治癒も多い病気と考えられています。
腹痛に伴う血便の症状がある場合には、入院後絶食し、血小板を増加させるために、次のような輸液治療を行います。

・免疫グロブリン製剤大量療法(大量の免疫グロブリン製剤を点滴)
・ステロイドパルス療法(大量の副腎皮質ホルモン剤を点滴)

関節の痛み・腹痛には、副腎皮質ステロイド薬が有効とされています。副腎皮質ステロイドには、免疫を抑制し、炎症を抑える作用があります。

紫斑病は腎臓に影響を与える?

血管性紫斑病の症状のひとつで起こる腎炎を、紫斑病性腎炎といいます。
紫斑病性腎炎の自覚症状としては、微熱・全身倦怠感など、あまり特徴的な症状はありません。

紫斑病に伴い、糸球体(※1)にIgA(※2)が沈着するのが特徴です。
※1糸球体:腎臓の毛細血管の塊
※2 IgA:生体を守る免疫物質のひとつ。免疫グロブリンAの略。

血管性紫斑病の約半数が、腎炎を発症します。
紫斑病性腎炎の発症原因は、はっきりとは分かっていませんが、IgAを含む免疫複合体(※)が関係する、全身性の疾患と考えられています。

※免疫複合体:血液・皮膚・腎臓などに存在する、免疫反応を司る物質(抗原・抗体・補体が結合したもの)

■紫斑病で妊娠、出産することはできる?

紫斑病という病気が、妊娠・出産を妨げることは、あまりないと考えられています。
しかし、血小板には止血作用があるため、血小板が減少している状態での出産は、十分な止血ができなくなり、大量出血のリスクを高めます。

紫斑病は、血小板を壊す抗体が、体内にできる病気です。
抗体が母体から胎盤を通過して、胎児の血小板を減少させる恐れがあります。
血小板が減少したままでは、母体・胎児の双方に出血のリスクがあります。

出産時に血小板を増加できるよう、ステロイドホルモン療法や免疫グロブリン製剤大量療法の治療をする必要があります。
妊娠、出産を希望される場合には、主治医とよく相談して、血液専門内科医と産婦人科医のいる医療機関での、出産をおすすめします。

紫斑病性腎炎の予後は、比較的良好なケースが多いと考えられていました。
しかし、たとえ経過が良好と判断されても、経過観察を途中で中止したりすると、次のようなことが起こるかもしれません。

・数年後に蛋白尿・血尿が再発する
・組織学的に腎炎が続いてしまうなど

そのような状態を回避するためにも、主治医の指示を守り、しっかり治療に取り組みましょう。

 

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【参考文献】
メディカルノート-紫斑病について
https://medicalnote.jp/diseases/紫斑病

公益財団法人難病医学研究財団 難病情報センター | 特発性血小板減少性紫斑病(指定難病63)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/157

株式会社時事通信社 時事メディカル 家庭の医学 紫斑病時事メディカル-紫斑病|家庭の医学|
https://medical.jiji.com/medical/016-0014-01

一般社団法人日本血液学会 学会誌『臨床血液』55 巻 (2014) 8 号より 妊娠合併特発性血小板減少性紫斑病診療の参照ガイド
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rinketsu/55/8/55_934/_pdf